企業への宅配・設置型食サービスが盛り上がる昨今、あるベンチャーが提供するフローズンフルーツ(冷凍果物)の宅配が急激に加入数を増やしている。原料はこれまで廃棄処分されていた国産フルーツで、健康面のみならずフードロス削減効果が高く評価されているという。代々続く冷凍一家に育ったCEO(最高経営責任者)に、フローズンフルーツに込めた熱い思いを聞く。

企業で大反響、オフィス宅配のフローズンフルーツ

企業の新たな福利厚生手段として、宅配・設置型の食サービスが進む。惣菜を手がける「オフィスおかん」、野菜宅配の「OFFICE DE YASAI」らが有名だが、今度はフルーツに特化したサービスが注目されている。デイブレイクが提供する「HenoHeno」がそれだ。

HenoHenoはフレッシュフルーツではない。特殊急速冷凍によって凍らせたフローズンフルーツである。フルーツを食べやすい大きさにカットしてアソートしたパックで届けられる。福島産の桃、長野産のりんご、山形産のデラウエア、茨城産のいちごなど、国内産にこだわるのも特徴だ。

こう聞くと高級なサービスに思うかもしれないが、少しだけ傷があったり、形が整わなかったりといった理由で、これまで廃棄せざるを得なかったフルーツを原料とする。そのため、基本プランで従業員が支払うのは1パックにつき100円とかなりリーズナブル。残りを導入企業が負担する(企業によって料金形態は異なる)。

試食した感想は、フルーツのシャーベットといった趣。口の中でシャリシャリと溶けていくが、果肉のジューシーさはしっかりと残っており、風味が落ちていない。

HenoHenoのパッケージ。ここでは桃、デラウエア、梨などをアソート(写真:小口正貴)
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まだ食べられるにもかかわらず廃棄されるフルーツは日本だけでも年間約100万トンとも言われ、HenoHenoはフードロス削減にも一役買っている。この姿勢は単なる福利厚生のみならず、健康経営、ESG、さらには社会的な流れであるSDGsとも相まって評価が高い。加えてビタミンやミネラルを手軽に摂取できる健康効果も大きい。2019年3月のサービス開始以降、導入企業はわずか8カ月で100社を突破。中には大手商船や生保も含まれる。

美味しさを封じ込める急速冷凍とは、食品の水分が凍るマイナス1度〜マイナス5度の温度帯を素早く通過させる技術で、組織にダメージを与えることなく品質を保ちながら冷凍できる。これは食品業界でも広く使われているものだ。対して家庭用の冷凍庫などは緩慢冷凍と呼ばれ、組織が破壊されるために水分や旨味が溶け出し、品質が落ちてしまう。

急速冷凍の例。液体凍結機「リ・ジョイス フリーザー」にこんにゃくゼリーを通した様子(出所:デイブレイク)

デイブレイクのCEOを務める木下昌之氏は神奈川県で70年続く冷凍会社の3代目として生まれ、15年ほど家業に従事した後、特殊急速冷凍技術の導入支援を軸として2013年に同社を設立。“冷凍のプロフェッショナル”が開拓したフローズンフルーツという新ジャンルについて、木下氏に話を聞いた。

未知のマーケットを冷凍技術と情熱で開拓する

――HenoHenoは開始から8カ月で導入企業が100社を超えました。改めて手応えのほどは?

おかげさまでテレビや雑誌、新聞などのメディア受けも良く、問い合わせが殺到している状態です。ある大手生保はSDGsの観点から導入してくれたのですが、いろんな企業がフードロス解消に取り組む我々の姿勢に共感してくれています。それから健康経営の側面ですね。従業員の健康管理を考える上でも、栄養価が高くヘルスケアの要素があるHenoHenoは最適だと。国産フルーツをこんなに手軽に食べられる機会もないので、従業員からも好評のようです。

デイブレイクCEOの木下昌之氏(写真:小口正貴)
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1つのパックには大体5種類のフルーツが入っていて、毎月プランを変えながら専任のフルーツアドバイザーが選んだ2パターンを出しています。内訳はお薦めの旬のフルーツと、ミックスフルーツ。例えば10月には甘夏やプルーン、マンゴーなどを詰め合わせたカラフルなハロウィーンカラーミックスを提供したりと、見た目にもこだわっています。冷凍なので夏にいちご、冬にすいかといったように、意図的に時期をずらすこともできます。