医療従事者も対象、民間ならではの行動力とアイデア

民間企業が運営するサービスにも悩み相談が増えている。2014年10月からオンラインカウンセリングを手がけるcotree(コトリー)は、2020年3月の利用者が前月比で3割増加。その後も相談件数が増加傾向にある。同社では4月16日から「新型コロナ メンタルサポートプログラム」を展開。企業・個人による支援と連携し、最大1万人に無償のカウンセリング提供を始めた。

提供するのは同社の「ビデオ・通話カウンセリングサービス」と「メッセージカウンセリングサービス」。企業や個人から寄付を募り、無料クーポンを発行。自社の従業員や自社サービスの顧客などがオンラインカウンセリングを受けられる。原資をクラウドファンディングで賄うスタイルは、民間企業ならではの発想と言える。

寄付金は1口30万円と安くはないが、続々と支援が集まっている。例えばクラウドファンディングを運営するCAMPFIREは、「新型コロナウイルスサポートプログラム」でCAMPFIREサービスを利用中の起案者を対象に1人につき最大1万円分のカウンセリングを提供。ビデオ・通話形式ならば2回(1回45分)利用できる。同社代表取締役の家入一真氏は個人でも寄付を行い、新型コロナに関する子育て相談を支援した。

このプログラムでは、医療従事者向けのメンタルサポートもフォローする。感染に対する恐怖、連日勤務による肉体的疲労、周囲からの偏見や社会的スティグマ(負のイメージ)など、医療従事者は一般人とは別のレベルで多大な不安を抱えている。患者の前で弱みを見せてはいけないと思う人たちも少なくないが、最前線で奮闘する彼ら・彼女らが心を病んでしまっては元も子もない。こうしたサービスが、メンタル面での医療崩壊を防ぐ一助となってほしい。

cotreeの医療従事者向けメンタルサポートプログラム(出所:cotree)
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大人以上に心配なのが子どもたちに対するケア。Welcome to talkでは、教育機関に特化したオンラインカウンセリングを開始した。代表取締役社長を務める関﨑亮氏は現役の医師で、校医として勤務した実績を生かして2018年に同社を設立。GIGAスクール構想をはじめ教育現場で急速にICT変革が求められる背景も重なり、サービスを本格化させている。

⼩学校、中学校、⾼等学校、専⾨学校、短期⼤学、⼤学向けの「オンライン健康相談」は、心の悩みを精神科医や心理士に相談できるサービス。すでに北海道の学校法人、吉田学園に導入済みだ。オンラインであればプライベート空間が担保され、何よりスマートフォンやタブレットで利用できることから、子どもたちにとってメリットが大きい。また、児童・生徒・学生のみならず、教職員、保護者の相談に応じる点も特徴。2020年5月には、経産省による「EdTech(エドテック)導入補助金」の公募に伴い、実証校の募集を開始。申し込みは6月15日で締め切られるが、交付対象に採択された学校は対象期間中、無償でサービスを受けられるようにした。

教育機関向けのオンライン健康相談(出所:Welcome to talk)
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国立成育医療研究センターでは、新型コロナが子どもに及ぼすストレスについて有益な情報をまとめた。家族向けのリーフレット、親子でできるストレス対処法、セルフケアのチェックシート、リラックス体操の動画などを掲載している。子どもに対する長年の医学的知見があるだけに、資料は非常にわかりやすいものとなっている。

新型コロナを機に、センターのスタッフを中心として有志研究者・医師によるグループ「コロナ×こども本部」を結成。WebやLINEを通じて子どもと保護者にアンケートを行った。中間報告を見ると、子どもの心の叫びは切実だ。最も困っているのは「友だちと会えないこと」で、76%を占める。相談したい内容のトップは、約半数の46%が答えた「コロナにかからない方法」。6月からは全国で段階的に登校が再開されたが、1日も早く以前の日常に戻ることを願うばかりだ。