1日も早い収束に向け、自治体も動く

自治体も対策を講じている。とりわけ意欲的なのが神戸市。同市では2017年からIT活用型の社会課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」(2019年からは「Urban Innovation JAPAN」)を始めたが、今年度はテーマを新型コロナ対策に特化。「STOP COVID-19×#Technology」を掲げ、8月末日まで全国からスタートアップを募った。

その中で一足早く採択されたスタートアップの1社が東京のSplink。2019年度に「500 Kobe Accelerator 」に選ばれるなど神戸市とは縁が深い会社だ。7月から、オンライン検査による「コロナ疲れの可視化」をテーマに神戸市との実証実験が始まった。神戸市役所の複数部署職員が協力し、メンタルヘルス低下や脳疲労などをチェック。どんな傾向にあるかを分析し、結果に応じた行動アドバイスを行う。

コロナ疲れ可視化のフロー(出所:Splink)
コロナ疲れ可視化のフロー(出所:Splink)
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北九州市が7月から実証実験を開始したのが、AI活用のソーシャルディスタンス自動検知システム。実証施設は関門海峡ミュージアムで、既存の監視カメラから抜き出した画像データをもとに、AI(人工知能)が人間だけを検出。人数、位置、距離感を出力して、スマホアプリやデジタルサイネージに密集度を通知する。地元企業のミシマ・オーエー・システムがアプリ、リョーワがAI認証システムを開発した。北橋健治北九州市長は定例会見で、「出かける前に密集状態を確認し、回避する行動を取れるようになる。新たな社会課題解決に向けた地元企業の製品開発を今後も支援していきたい」と語った。

北九州市が実証中のAI活用ソーシャルディスタンス自動検知システム(出所:ミシマ・オーエー・システム)
北九州市が実証中のAI活用ソーシャルディスタンス自動検知システム(出所:ミシマ・オーエー・システム)
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福岡県直方市が実証実験で採用した「ひとみるAIサーモスキャン」「“密”をみるシステム」も地元企業のアドバンテックテクノロジーズ(元オムロン直方)によるもの。台湾にある本社は産業用PCで高い実績を持つ。サーモグラフカメラで額部の体表温度を測定し、簡易的な検温を行う。エッジAIコンピューターと連携しているのが特徴で、不特定多数の人物を同時検出することが可能。さらに履歴を記録して、感染が発覚した際の追跡にも利用できる。

アドバンテックテクノロジーズによる感染抑制ソリューション。画像処理AIが強み(出所:アドバンテックテクノロジーズ)
アドバンテックテクノロジーズによる感染抑制ソリューション。画像処理AIが強み(出所:アドバンテックテクノロジーズ)
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直方市は経済産業省が推進する「地方版IoT推進ラボ」に選定されており、アドバンテックテクノロジーズはその中核を成す企業でもある。市では「現場スタッフの省人化と信頼性の高いデータのマネジメントを両立させる画期的な技術」と高く評価しており、乳児検診会場や小学校で活用を重ねている。