今後の標準になり得る“デジタル病理”という考え方

――検体のデジタル化はどうしているのか。

それがもう1つのサービスの柱となるイメージングセンターで、当社でプレパラート(ガラス標本)のデジタルスキャンを請け負っている。病理診断は誕生してからプレパラートを顕微鏡で観察するスタイルだが、ここ10年ほどはデジタルデータでの観察、いわゆるテレパソロジーが徐々に浸透しつつある。イメージングセンターのスキャニング事業は、病理のデジタルへの移行を推進していく意図もある。

AIを用いた画像診断ではX線やCT(コンピュータ断層撮影)が盛んだが、それらは元がデジタルデータなので、病院と連携して比較的スムーズにAI開発ができる。しかし病理はデジタルデータに変換しないと前に進まない。スキャンした組織や細胞のデジタル画像をPidPortにアップすれば画像データのセキュアな管理・保管・利活用が可能で、そこに紐づく症例情報なども入力できる。つまり、検体のデジタル化から画像データの管理、AIによる病理スクリーニング、遠隔の病理診断までトータルでソリューションを提供できるのが強みだ。

PidPortを中心とするトータルソリューション(出所:メドメイン)
PidPortを中心とするトータルソリューション(出所:メドメイン)
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――まさにこれからの領域だと思うが、どのように開発しているのか。

相当数の病理医の先生が開発レベルから参加してくださっている。現在110名ほどの病理医の先生が非常に高い関心を持って携わっていただいている状況だ。皆さん、病理診断領域で今後AIが活用されることは間違いないと話していて、その点でもPidPortに対する期待を感じる。

代表的な提携機関は九州大学、国際医療福祉大学、広島大学、順天堂大学、久留米大学などで、国内では合計20数大学がメドメインの開発に協力してくれている。例えば国際医療福祉大学は検体データの提供やグループの病理医による監修に加えて、出資もしていただいた。プロダクトへのフィードバックを返してもらえるため、改善に大いに役立っている。これらの提携機関や検査センター、製薬企業での利用が進んでいる。

――一般的な利用方法は?

現在は遠隔病理診断・コンサルテーションでのニーズが多い。地方の病院は病理医がたった1人の場合がほとんど。普段見慣れている症例であれば問題ないが、判断が困難な症例が出てきた際に大学病院の先生に意見を求めたいケースが結構ある。これまでは車でわざわざプレパラートを大学病院に運んでいたが、デジタルデータの活用によってその問題が解消された。コロナ下で移動が急激に制限されたこともあり、オンラインへの需要はさらに高まっていると思う。

遠隔病理診断、コンサルテーション、ディスカッション用のコメント機能使用時の画像(出所:メドメイン)
遠隔病理診断、コンサルテーション、ディスカッション用のコメント機能使用時の画像(出所:メドメイン)
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病理診断は、従来のプレパラートで行われてきた診断からデジタルにシフトしつつある過渡期だ。デジタルで検体データを扱うことで、上に挙げたような遠隔病理診断ができたり、病理AIの解析が使えたりと可能性が広がる。今までにない大きな価値を提供できるようにシステム面からサポートしていきたい。