医療機器メーカーとして健康と親和性が高いテルモでは、社内イントラネットに健康経営に特化したサイトを設置。経営トップが率先してメッセージを発し、全社一丸となって取り組んだ。ICTツールを活用したウォーキングイベント、すごろくゲームを真似た達成感を伴う禁煙対策、健康クイズの回答結果によってポイントが貯まり、目標数を超えると景品がもらえるダイエット施策など、ユニークな健康増進キャンペーンを実施。結果的に喫煙者数の減少や減量目標達成人数の増加につながり、2015年、2016年と続けて健康経営銘柄に選定された。

東京急行電鉄は「食」の観点から改善を図った。同社も2015年、2016年の連続選定組だ。具体的な取り組みの一つが、鉄道の職業現場で交代制で調理する「まかない飯」。管理栄養士を現場に派遣しメニュー指導した。このほか、健康支援アプリを活用した体重管理を職場対抗で競わせたり、職場単位でウォーキングイベントを行ったりと、現場の結束力を高めながら独自の健康文化醸成を試みている。

同じく連続選定組である日本航空(JAL)は、中期経営計画と連動した健康推進プロジェクトとして「JAL Wellness 2016」を設定。健康保険組合によるデータヘルス計画と足並みを揃えながら、生活習慣病、がん、メンタルヘルスをターゲットに健康対策を実施している。

まずは全社員に「JAL Wellness 2016 My Book」を配布して健康意識の啓蒙を図った(図2)。続いて全国の事業所・部門ごとに約130人の「ウエルネスリーダー」を置き、リーダーが率先してウォーキング大会、運動会、各種健康セミナーの開催といった健康活動を実施している。禁煙にも注力しており、本社事業所の全喫煙室を閉鎖。喫煙率は15.4%に減少した。さらに社員および家族の1人当たり医療費が抑制されるなど、本気で取り組んだ成果が現れている。

(図2)JAL Wellness 2016 My Bookの内容(公開済みのPDFより)

ヘルスケアベンチャーが健康経営を包括的に支援

ホワイト企業のイメージがついてくるならば、ぜひうちも健康経営に乗り出したい――当然、そう考える企業も増えている。前述のように、2020年に向けて500社に健康経営ブランドの門戸が開かれることもあって、健康経営企業の育成市場が形成されつつある。

有料ダイエットサービス「ダイエット家庭教師」で名を馳せたヘルスケアベンチャーのFiNCはこの流れをとらえ、法人向けサービスとして「FiNCウェルネス経営パッケージ」を提供している。アプリや健康データ共有をうまく組み合わせながら健康増進プログラムを継続する仕組みを導入。スポーツジムや日帰り温泉といった割引特典が受けられる福利厚生のアウトソーシング機能を含め、積極的に企業にアプローチしている。

さらに綿密な健康データに基づくウエルネス経営の実践を通じて、健康経営企業としてのブランディングをサポート。2016年11月には、健康経営情報を発信する自社ブログ「FiNCウェルネス経営ラボ」を開始した。日本交通は本パッケージを採用し、CWO(Chief Wellness Officer=最高健康責任者)の配置などにより、健康への意識向上、社員のダイエット推進などを実現したという。

サントリーは、健康経営をサポートする自動販売機を投入した(図3)。歩数に応じてポイントが貯まるサービス「サントリー GREEN+(グリーンプラス)」に対応した自動販売機で、貯めたポイントで対象自動販売機にあるサントリーのトクホ飲料を購入できる(図4)。

(図3)健康経営をサポートするサントリーの自動販売機
(図4)サントリー GREEN+(グリーンプラス)の仕組み

実は2016年から自社でも健康経営に取り組み始めたサントリー。自動販売機のシステム同様、社員が主体的・継続的に取り組むためのインセンティブとして「サントリーヘルスケアマイレージ」を導入した。マイレージを貯めることで日用雑貨やグルメ、スポーツ用品などの景品と交換可能な制度だ。そのほか、1泊2日メタボ選抜合宿、睡眠セミナー、ヘルシーランチの社内販売などを実施。最終的には国外のグループ会社にも展開していく予定だ。

※参考サイト(神奈川県のページ)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f532717/p993738.html#tag5