経年劣化に関心、北電グループに依頼しドローン点検
冬季雷による損傷も含み、これまでにカバーガラスが割れ、交換した太陽光パネルは3枚にとどまっている。割れを発見すると、すぐに交換する。費用は保険で賄っている。
同社の方針として、発電設備の損傷は、発電事業の収益から見ても対応に要する費用はわずかで、交換しないことによる売電損失の方が多いことから、迅速に対応している。
本業が建設コンサルタントであることからも、事業計画は堅く、修繕費などは保守的に見積もっている。万が一、事業計画を下回る収益が続いたり、計画以上の修繕の必要が出てきた場合、その評判が知れ渡り、本業に影響を及ぼすようなことを避けたいという理由からでもある。実際には、想定したほど修繕費を支出していない状況という。
太陽光パネルの経年劣化にも、大きな関心を持っている。この一環として、2017年8月には、ドローン(無人小型飛行体)を使って、現状の太陽光パネルの異常を調べた(図6)。
同社では、パネルに関連する点検として、目視による外観の点検のほか、接続箱の入力端子を介したストリング単位の絶縁抵抗と、I-V特性を測定している。
しかし、これらの点検では、ホットスポットなどの過熱や、変換効率が劣化しているパネルを特定できないといった問題意識を抱えていた。そこで、ドローンによる点検を委託した。
ドローンによるパネル点検は、小水力で取引が深い北電テクノサービス(富山市)に委託した。同社は社名の通り、北陸電力グループの技術系子会社である。現場作業は、ジャパンビジュアルサポート(富山県中新川郡上市町)が担当した。
この点検によって、約4800枚の太陽光パネルのうち、52枚に温度分布の異常がみつかった。
温度分布の異常を把握した52枚のパネルは、その後、手持ち型の赤外線カメラを使い、地上からも改めて熱分布の画像を取得した(図7)。
ここでは、裏面から撮影した。積雪対応型のメガソーラーでは、パネルの設置高が高く、設置角も大きいため、表面側から撮影したのでは、適切なデータを取得しにくいためである。このメガソーラーでは、低部の設置高さは1.5m、設置角は30度である。
この結果、52枚のうち21枚に、ホットスポットによる大きな温度差を確認した。ただし、I-V特性の測定結果では、パネルメーカーが示している基準を下回っていないために、メーカー負担による交換対象にはならなかった。
頭を悩ますツタとイノシシ
事業計画時の想定よりも、手間や費用がかさんでいることもある。例えば、雑草対策である。当初の事業計画では年2回の草刈りが、それでは足りず、年3回に増えている(図8)。
最大の問題は、敷地外から伸びてきて、外周フェンスに絡みつくツル性植物である。これを放置していると、フェンスの空隙を埋めて壁のようになってしまい、強風が吹き付けた際に倒れてしまうといった損壊を招く。また、敷地内まで伸びてきて、アレイに絡みつくと、発電量の低下にもつながる。
敷地内のアレイ下なども除草しているが、これはパネルの設置高が1.5mと高いこともあり、必要性はそれほど高くない。
もう1つは、イノシシの出没である。これも、敷地内ではなく、今のところ、敷地外での行動が問題となっている。
敷地外の法面の一部を、大きく掘り込んでいる(図9)。このまま放置していると、法面の大きな損壊などにつながる可能性もあると懸念している。
発電所名 | NiX 八尾ソーラーパワー |
---|---|
所在地 | 富山県富山市八尾町上笹原地内 |
土地所有者 | 富山市(カドミ汚染田客土母材採土跡地) |
発電事業者 | ニックスニューエネルギー(富山県富山市) (新日本コンサルタントの100%子会社) |
設置面積 | 約3.0ヘクタール |
太陽光パネル出力 | 1416kW |
連系出力 | 1260kW |
投資額 | 約3.9億円 |
kWあたりの建設単価 | 27.5万円 |
年間予想発電量 | 約1233MWh(一般家庭約300世帯分の消費電力に相当) |
固定価格買取制度(FIT)上の売電単価 | 36円/kWh(税抜き) |
年間予想売電額 | 4400万円 |
投資回収期間 | 約14年間 |
EPC(設計・調達・建設)サービス | 佐藤工業 |
太陽光パネル | ネクストエナジー・アンド・リソース製 (多結晶シリコン型、295W品、4800枚) |
パワーコンディショナー(PCS) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製 (出力630kW機、直流入力電圧1000V対応、2台) |
太陽光パネル低部の設置高さ | 約1.5m |
太陽光パネルの設置角 | 30度 |
売電開始日 | 2014年10月1日 |
売電先 | 北陸電力 |