探訪

先端的「自家消費メガソーラー」、DIC館林工場で稼働(page 5)

「蓄電池・逆潮流なし」でも「応答制御」で再エネ比率20%

2019/07/02 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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「台数制御」案と「応答制御」案

 DIC館林工場でも、こうした点が設計上の課題になった。同工場の需要パターンは、平日は1.7MW程度の安定した負荷がある一方、土日は本格的な生産がないため、需要が減り、土曜は1.1MW、日曜は0.6MWまで負荷が小さくなる(図9)。

図9●DIC館林工場の負荷変動パターン
(出所:三菱電機)
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 一方、設置する太陽光発電設備は、未利用地を最大限に活用して、太陽光パネル出力1.27MW、PCS出力1.25MWを設置することで、再エネ発電量を少しでも多く確保する方針になっていた。

 こうした条件のなか、三菱電機はDICに対して、2つのシステムを提案した。

 1つは、導入するPCSを750kW機と500kW機の2台とし、台数制御することで、太陽光発電の機会損失を減らすシステム。平日、土曜、日曜の3パターンで運転方式を決め、カレンダーで制御する。具体的には、平日は2台稼働で1250kW運転、土曜は750kW機1台を運転(500kW機停止)、日曜は500kW機1台を運転(750kW機停止)となる。

 もう1つの案は、PCSに1250kW機を採用し、需要の電力値を監視しながら、それに追随するようにPCS出力を応答制御することで、太陽光発電の機械損失を最少化するシステム。PLC(プログラマブルコントローラ)を導入して、PCSに出力指令を出すことで、RPR動作による全停止を避けながら、出力を連続的に制御する仕組みだ。

 出力指令を受けたPCSは、内蔵されたMPPT(最大電力点追従制御)の機能を使って、電流と電圧値を瞬時に最適制御することで、出力を調整する。TMEIC製のPCSは、MPPTの制御速度が速いため、PLCからの指令に機敏に対応できるという。

 1つ目の「台数制御」と2つ目の「応答制御」を比べると、応答制御の方が、PCSを緻密に出力制御できるため、太陽光パネルが本来発電できる出力を最大限に活用できる。

 一方で、システム構築に必要な全体のコストは、「台数制御」より「応答制御」の方がやや高くなる。「台数制御」の場合、ON/OFFの汎用的なコントロール機器で構成できるので制御系への追加費用は数万円で済むのに対し、「応答制御」の場合、小型コンピュータともいえるPLCが必要なため、制御系への追加費用は約300万円になるという。

 こうした三菱電機からの提案に対し、DICは最終的に「応答制御」によるシステムを採用した。初期コストは上がるものの、再エネ由来の電力を最大限に増やすという全社的な目標に合致したからだ。今回導入した太陽光の自家消費型システムにより、館林工場で消費する年間使用電力量の約20%を賄える見込みという(図10)。

図10●TMEIC製PCS(1.25MW機)を応答制御する
(出所:日経BP)
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 同工場では、約15円/kWhで電気を購入している。今回の自家消費型メガソーラーの建設費を考えると、20%の売電量削減効果で、一般的な省エネ対策のめどである7~8年の投資回収を達成することは難しいという。とはいえ、再エネ利用の拡大という全社的な方針に加え、公的な補助金が活用できたこともあり、導入に踏み切ったという。

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