北海道の最南端に位置する松前町は、西は日本海、南は津軽海峡に面し、東西約50kmの海岸部に街並みや牧草地が広がる。対馬海流の影響を受け、北海道で最も気温が高く、温暖な気候でもあり、かつて松前藩の城下町として栄えた。
地上30m以上の上空には、年平均風速5~6mの風が安定的に吹き、風力発電の適地としても知られ、町内には2000年ごろから複数の風車が稼働している。
札幌テレビ塔と同じ高さ148m
今年4月、同町内に総出力40MWを超える国内有数の規模となるウィンドファーム「リエネ松前風力発電所」が稼働した。定格出力3.4MWの風車12基が海風を受けて悠然と回る。単機出力「3.4MW」は、4月時点で運転中の商用風車として日本最大となる。加えて、北海道初の蓄電池システムを併設した風力発電所でもある。
東急不動産と日本風力開発(東京都港区)の出資による松前ウィンドファーム合同会社が事業主体となり、4月3日から商用運転を開始した。風力発電設備の定格出力は合計で40.8MW、併設した蓄電池システムの出力18MWに達する。年間発電量は一般家庭約3万世帯分に相当する1億590万kWhを見込んでいる。
風力設備はスペインSiemens Gamesa Renewable Energy製で、タワーの高さは94m、ブレード(羽根)の長さは54mで回転直径は108m。ブレードが上方になった際の最高点は148mに達する。これは札幌市の大通公園にあるテレビ塔とほぼ同じ高さになる。
蓄電池は日本ガイシ製ナトリウム硫黄(NAS)電池、蓄電池用パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した(図1)。