探訪

北海道初の「蓄電池併設型」、松前で国内最大風車が稼働(page 4)

充放電制御で発電計画に沿った送電を実現

2019/07/16 06:22
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ、
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短周期と長周期変動を緩和

 こうした風力発電と蓄電池を連係制御しているのは、日本風力開発グループのイオスエンジニアリング&サービス(東京都千代田区)だ。同社では、青森県六ケ所村に稼働中の蓄電池併設型風力発電所で、すでに同様の運用制御を軌道に乗せた実績がある。「六ヶ所村二又風力発電所」で、51MWの風車にNAS電池(34MW)を併設したものだ。

 「六ヶ所村二又風力発電所」の蓄電池制御では、東北電力の系統連系技術要件に基づいている。今回稼働した「リエネ松前風力発電所」では、北海道電力が2016年4月に出した「風力発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に対応したものだ。東北電力と北海道電力の技術要件は、細かい点で相違点もあるものの、基本的な要請内容は近いもので、六ケ所サイトでの経験がかなりの部分で松前サイトでも生かせるという。

 北海道電力の技術要件は、短周期と長周期の両面での出力変動の緩和を求めている。短周期変動では、風車と蓄電池の合成出力の変化速度を「発電所定格出力の毎分1%以下」に緩和することを求めている。これは、道内に設置する新規のメガソーラーに対して求めている短周期変動の緩和と同じ技術要件となっている(図9)。

図9●短周期変動の緩和対策のイメージ
(出所:北海道電力)
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 また、長周期の出力変動の緩和対策では、以下4つの指定時間帯において、合成出力の変動方向を制御することを求めている。具体的には、「7~10時に(合成出力を)減少させない」「11時30分~13時30分に増減させない」「16~19時に減少させない」「20~23時に増加させない」というものだ。これらは北海道電力の発電機での出力調整が厳しい時間帯に需要変動を拡大させない方向への制御を要請しているという(図10)。

図10●長周期対策の緩和対策イメージ
(出所:北海道電力)
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 イオンスエンジニアリングでは、天気予報を元にしつつ、こうした技術要件に沿った形で、事前に発電計画を作成して北電に提出している。計画した出力ロードを達成するためには、リアルタイムでの充放電制御に加え、その時々に必要になりそうな蓄電池の充電量や空き容量を事前に予想しておき、それに備えた運転も必要になる。

 とはいえ、必要以上に充放電量が多くなると、変換ロスが大きくなって売電量が減ってしまう。一方で、必要な時に充電量や空き容量が十分にないと、技術要件を逸脱してしまい、電力連系から解列されて売電できない。技術要件を逸脱せずに、いかに売電量を最大化するかが、重要な制御ノウハウになってくる。

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