富山県の臨海部である、射水市有磯に、太陽光パネル出力が約5.251MW、連系出力が4.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「富山新港太陽光発電所」がある(図1)。
発電事業者は富山県企業局で、2016年3月に売電を開始した。
富山県企業局は、電気、水道、工業用水道、地域開発の4つの事業を開発・運営している。このうち電気事業は、富山ならではの特色が強く出ている事業としている。
富山県は、日本海に面している北側をのぞく三方を、高い山々に囲まれている。この地形が、電気事業を独特のものにしてきた。とくに、立山連峰は、標高3000m前後の山々が連なり、加えて、富山平野からの距離が比較的近い。連峰からの雪解け水は、急な川を下り、平野に向かって一気に流れ込む。
狭い平野に、急な河川に多くの水が流れることから、歴史的に水害に苦しんできた。治水を兼ねて、水力発電所が整備され、1920年から、産業向けの電気事業がはじまった。現在でも、電気事業の主軸は水力で、19カ所の水力発電所を運営している。
小水力発電にも取り組んでいる。再生可能エネルギー発電電力の固定価格買取制度(FIT)がはじまる前から開発を手掛け、4カ所が稼働している。
このほか、小水力では、農業用水路を活用して、県内各地の土地改良区が取り組む案件について、事業化の可能性調査への補助などを通じて支援している。
太陽光発電については、住宅向けの補助などのほかに、県有地を民間企業に貸し、メガソーラー(大規模太陽光発電所)を誘致してきた。出力約7.7MWの「SGET富山メガソーラー発電所」(関連コラム:豪雪に備える北陸最大のメガソーラー)など、プロポーザル公募を経て、これまでに3カ所の県有地を貸している。
ただし、県有地の中で、太陽光発電に向く土地であっても、特殊な立地や環境にある場合など、県が責任を持って直接、管理し続ける必要性が高い場合、民間企業に貸し出さず、県直営で開発・運営することにした。県の企業局による太陽光発電事業となる。
こうした特殊な土地で最初に稼働したのは、まず、浄水場の敷地内の遊休地を活用した出力1.75MWの「神通川浄水場太陽光発電所」だった(関連コラム)。富山新港のメガソーラーは、神通川浄水場太陽光発電所に続く2カ所目となった。
富山新港のメガソーラーは、廃棄物処分場の浄化期間中の土地を活用して開発された。富山新港臨海工業用地の一画に位置している(図2)。
太陽光発電設備を並べた土地の地中には、石炭灰が埋められている。北陸電力が、火力発電所での発電で生じた石炭灰を埋めたてた。現在でも、土地の所有者は富山県だが、埋め立てた石炭灰などの産業廃棄物に該当する部分の地中の管理は、北陸電力が担っている。
このような廃棄物の埋め立てが終わった後の土地を、浄化期間中に有効に活用する手法として、メガソーラーの用地とする例は多い。