探訪

「ヌートリアがかじって短絡」、「池の修繕中の発電は可能?」、加東市の水上太陽光(page 4)

発電量は上ぶれ、台風の襲来にも安全性は良好、接続箱は陸上に

2019/11/19 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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ヌートリアが電線を齧って短絡

 商用運転を開始して以降、「大池」と「更池」の水上を活用したメガソーラーは、順調に推移している。年間予想発電量の約210万kWhに対して、平均では230万kWh以上で推移しており、240万kWh以上まで上振れする年もあった。

 池の水が太陽光パネルを冷やし、夏の高温期でも発電効率が低下しにくくなる「冷却効果」については、正確に比較検証できるデータはないものの、地上設置型に比べて発電量が大きめに出るように感じるという。

 太陽光パネルの割れも、これまでに1枚にとどまるなど、トラブルの少ない発電所となっている。

 ただし、水上に特有のトラブルもあった。池の周辺に住みついた「ヌートリア」が、池を泳いでフロートにはい上がり、電線をかじって損傷させ、直流回路が地絡する被害が生じた(図6)。

図6●電線が齧られて地絡した
(出所:コムシスクリエイト)
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 ヌートリアは、外来の小型哺乳類で、北米に多く生息している。カピバラに似た、可愛らしい容姿をしているが、日本固有の生態系を脅かしたり、農作物を食べたりするだけでなく、巣穴を広げることで河川の堤防や池の堤体を決壊させた例まで報告されており、駆除計画を策定した地方自治体も多い。

 加東市の水上メガソーラーでは、フロート上で電線がヌートリアに齧られて損傷し、地絡する被害が相次いだ。

 そこで、コムシスクリエイトが加東市に相談すると、知見を授けた上、捕獲用のワナを貸し出してくれた(図7)。このワナを使い、ヌートリアを捕獲した。捕獲したヌートリアは、加東市が引き取った。

図7●ワナは加東市が貸した
(出所:コムシスクリエイト)
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 この後、小動物が電線を噛んで地絡するトラブルは数年間、起きなかった。しかし、2019年に入り、また電線の地絡が生じた。点検すると、久しく見ていなかった噛み跡が電線から見つかった。

 またヌートリアが出没するようになった可能性があるという。

 ヌートリアがかじった電線を含む加東市の水上メガソーラーの直流回路は、他の水上太陽光発電所とは大きく異なる部分がある。

 接続箱が、陸上に設置されていることである(図8)。一般的な水上太陽光発電所では、接続箱もフロートの上に乗せている。この違いは、加東市の水上メガソーラーの電気保安管理業務を担当している、関西電気保安協会の方針による。

図8●地上に並んだ接続箱
(出所:日経BP)
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 水上メガソーラーの電気保安管理業務は、O&Mを担う日本コムシスが、関西電気保安協会に委託している。

 同保安協会から、水上に設置した設備についての保安管理業務の受託を断られたため、接続箱の設置場所を、フロート上から陸上に変えた。太陽光パネル14枚を直列で接続した送電線を合計574回路分、陸上まで延ばしてから接続箱に入力している。

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