探訪

「ヌートリアがかじって短絡」、「池の修繕中の発電は可能?」、加東市の水上太陽光(page 5)

発電量は上ぶれ、台風の襲来にも安全性は良好、接続箱は陸上に

2019/11/19 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
印刷用ページ

池の修繕で着床、発電を継続できるか?

 池の管理者にとっては、水上を太陽光発電事業者に貸すことで、新たな収入が生まれる。従来、農業用ため池は、管理や修繕費用の確保が難しかった。屋度自治会では、水上の賃料収入が入ったことで、先送りしてきた地元の社(やしろ)を新設できたと感謝されたという。

 「新池」でも、大規模な修繕が実施されることになった。堤体を修繕する工事が1年8カ月~2年間にわたって実施される。

 この工事の間、池の水は抜かれる。さらに、工事期間中は、太陽光パネルの位置を、現在浮かんでいる場所よりも、上流側に移すことを求められている。

 コムシスクリエイトでは、この工事への対応を検討している。同社が望むのは、移した先の上流側の場所で、池から水を抜き切った後にも、発電は続けていくことである。

 発電を継続できるかどうかは、移した先の上流で、池の底がどんな状態になっているかによる。平坦な場所が広いほど好ましく、凹凸があっても、吸収できれば問題ない。

 池からすべての水が抜かれた後は、フロートが池の底に直接、置かれて「着床」した状態となる。フロートや太陽光パネル、電線が、適正な範囲の状態を維持したまま着床できるのであれば、そのまま発電を続けられる。

 考慮する点は、フロートが大きく傾いて転覆しないか、太陽光パネルや電線に、過剰な荷重がかかることがないか、などとなる。

 池の底の状態によっては、太陽光パネル9枚ごとのユニット単位で切り離し、着床させれば良い。この場合には、電線の引き回しを工夫する必要もある。

 ユニット単位での着床にも限りがある場合には、近くで土地を探し、ユニットを分解した上で、陸上に引き上げる必要がある。こうなると、発電の継続は難しい。

 発電事業者としては、2年間以上にわたることが予想される売電の停止は、極力、避けたいところだ。しかも、フロートと太陽光発電設備を陸上に引き上げる際と、工事が終わって水上に戻す際に、それぞれコストがかかる。

 「新池」で、水がすべて抜かれるのは、実は初めてではない。今回、計画が決まった大規模な修繕のための調査が2016年以降に実施され、この時にも、池からすべて水が抜かれた。

 この時には、フロートが浮かんでいる場所から動かす必要はなく、そのままの位置で着床させた(図9)。池の底の凹凸は少なかった。ただし、念のため、ユニット単位に切り離した上、発電は止めた。

クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
図9●「新池」の水が抜かれたときの様子
(出所:コムシスクリエイト)

 発電を止めた期間は約2カ月間で、しかも、冬の発電量が比較的少ない時期だったため、影響は限定的だった。

 その調査が終わった後、再び水が入ってきた時の浮かび上がり方など、水量の変化にともなうフロートの状態の変化にも、大きな問題はなく、改めてタキロンエンジニアリング製のフロートの利点を確認できる機会になったとしている。

 この時の経験から、フロートが浮かんでいる場所の付近であれば、そのまま着床させ、発電を続けられることがわかった。ただし、今回、移すことが求められている上流の場所については、詳細な状態を把握できていない段階という。

●発電所の概要
発電所名加東市屋度大池太陽光発電所
(サン・レイクス屋度 加東)
所在地兵庫県加東市屋度字柳入、大縄場(大池、更池)
敷地面積約5万6600m2
(大池:1万8400m2、更池:7300m2
発電設備の設置面積約2万5700m2
太陽光パネル出力2.009MW
(大池:1.442MW、更池:0.567MW)
パワーコンディショナー(PCS)出力1.5MW
力率制御85%
年間予想発電量約210万kWh
(一般家庭約600世帯分の消費電力に相当)
投資額約6.0億円
発電事業者コムシスクリエイト(東京都品川区)
EPC(設計・調達・施工)サービス日本コムシス
O&M(運用・保守)日本コムシス
太陽光パネル現代重工業製
(多結晶シリコン型 、出力250W/枚、8036枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(定格容量500kW・直流入力600V対応、3台)
フロートタキロンエンジニアリング(大阪市北区)製
太陽光パネルの設置角20度
売電開始2015年12月16日
固定価格買取制度(FIT)上の売電価格32円/kWh(税抜き)
売電先関西電力
  • 記事ランキング