探訪

長崎で地元企業が試行錯誤、30MW空港メガソーラーの4年(page 2)

ドローンは朝6時まで、出力抑制は九電による制御が有利?

2020/06/02 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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当初は開発を見送るつもりだった

 長崎空港の隣接地のメガソーラーでは、チョープロだけで開発するには規模が大きいことから、ソーラーフロンティアに共同での事業化を打診して実現した。

 この土地は、長崎県が公開した「県内の地方自治体などが所有する太陽光発電に向く貸出可能な土地」のリストに含まれていた。空港の隣で航空関連による活用を期待して整備したものの、有効に活用されていなかった。

 チョープロは、この土地でのメガソーラーの開発を見送るつもりだった。同社が手がけるには障壁が高かったからである。地方の中堅企業にとってあまりにも規模の大きなプロジェクトとなる上、連系先となる特別高圧送電線は島内になかった。

 一方で、土地を所有する長崎県や長崎県土地開発公社は、地元企業による活用を望んでいた。最終的に、地元企業が主体となる太陽光発電事業による地域活性化の意義を重視し、チョープロが事業化に踏み切った。

 固定価格買取制度(FIT)に基づく売電単価は36円/kWh(税抜き)で、年間発電量は約3700万kWh、20年間の売電総額は約260億円を見込んでいる。これに対して、開発費は約100億円、賃料は年間約1億6000万円で、20年間の総額は約32億円と、賃料は比較的高めの設定となっている。

 チョープロが地元関連の交渉、ソーラーフロンティアが発電設備や資金調達などを担った。EPCサービスは、今回は千代田化工建設が担当した。千代化もEPCサービスの実績が豊富で、ソーラーフロンティア製の太陽光パネルを積極的に採用していた。

 開発費の約100億円のうち約7割を、プロジェクトファイナンスを組成して調達した。みずほ銀行が幹事行を務め、九州を中心とする複数の金融機関が融資に参加した。

 連系点までの送電は、海底ケーブルを敷設することで事業性と技術面の両方を満たした。開発費の約100億円のうち、海底ケーブルの敷設に約12億円を費やした。

 九州電力の大村変電所に接続するための海底ケーブルの長さは約11km(図3)。周囲の漁業や自衛隊のヘリコプターの離発着に影響しないルートで敷設することが条件となった。それを満たしつつ、施工が容易で、最短距離で設定することがポイントとなった。

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図3●海底ケーブルを約11km敷設
現地の画像(中、下)の水中の中央付近で、上下方向に細長く盛り上がるように見えるのが海底ケーブル(出所:日経BP)
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 関連先と折衝して敷設の合意を得て海底の調査を開始すると、想定したルートでは、送電の信頼性に欠かせないケーブルの保護に有効な、海底への埋設が難しいことがわかり、適切な手法で敷設できるルートの選定に時間を要した(2016年8月の掲載記事)。

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