探訪

長崎で地元企業が試行錯誤、30MW空港メガソーラーの4年(page 5)

ドローンは朝6時まで、出力抑制は九電による制御が有利?

2020/06/02 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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出力抑制と遠隔制御

 電気保安管理業務は、チョープロが担っている。同社の第二種の資格を持つ電気主任技術者が専任で従事している。

 定期点検は、規模が大きいため1人では難しい。そこで、専任の電気主任技術者の管理の下、九州電気保安協会に委託し、同保安協会が補佐して点検している。

 定期点検は、1日で一気に終えている。数日をかけるよりも管理の効率が良いためとしている。

 日々の管理では、雑草に苦労している。雑草を刈り続けていくと、年を経るごとに強く濃くなっている印象があるという(図6)。しかし、除草剤を使うことはできない。漁業への配慮から、除草剤を使わないことを決めているためである。乗用型草刈機を2台持ち込み、数日間かけて敷地内をくまなく走って除草している。これを年に数回実施する。

図6●パネル設置区域外の様子から、雑草の強さがうかがえる
(出所:日経BP)
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 もう一つ、悩ましいのが出力抑制である。この発電所は、年間30日まで無補償での出力抑制が課される、いわゆる「30日ルール」の案件である。

 チョープロが開発した太陽光発電所は、基本的に遠隔制御を導入している。「30日ルール」の発電所は、出力抑制を実施する日の前日の午後に九州電力から電話と電子メールで連絡が入り、翌日の8時~16時の発電停止を求められる。チョープロは、その指示に従って遠隔制御で翌日の8時~16時の間、すべてのPCSの稼働を止める。この遠隔制御は、タイマー設定で実施している。

 ただし、長崎空港隣のメガソーラーについては、遠隔制御システムは導入しつつも、タイマー設定には対応していない。追加で数百万円単位の費用を要し、費用対効果に疑問があるためとしている。

 一方、「無制限・無補償ルール」の出力抑制が接続条件となっている太陽光発電所では、九州電力が直接、遠隔制御によって出力抑制している。

 こうした発電所では、発電事業者に連絡はなく、チョープロが運営している同ルールの発電所でも、遠隔監視によって出力抑制の実施を知ることになる。そして、現状では出力抑制の時間が短く、電力需要のピーク時とされる11時ころ~15時ころのうちの約3時間にとどまっている。

 「30日ルール」のメガソーラーでも、同じように九電が遠隔制御している場合には、同じように日に3時間程度の出力抑制に収まっていることが知られている。そこで、長崎空港隣接地のメガソーラーでも、九電による遠隔制御が可能なシステムに移行するかどうか検討している。

●発電所の概要
発電所名SOL de 大村 箕島
所在地長崎県大村市箕島(長崎空港隣接地)
敷地面積約34万m2
土地所有者長崎県(約6割)、長崎県土地開発公社(約4割)
太陽光パネル出力約29.68416MW
(杭基礎分:25.70832MW、コンクリート基礎分:3.97584MW)
連系出力24.055MW
年間予想発電量約3700万kWh
(一般家庭約7500世帯の消費電力に相当)
海底ケーブル約11km
(九州電力の大村変電所に接続)
発電事業者長崎ソーラーエナジー合同会社(長崎県西彼杵郡長与町)
(チョープロとソーラーフロンティアの折半出資による特定目的会社)
EPC(設計・調達・施工)サービス千代田化工建設
   土木 西松建設
   電気 きんでん、三宝電機
   海底ケーブル 住友電気工業
   特別高圧変電設備 三菱電機
太陽光パネルソーラーフロンティア製
(出力165W/枚、約18万枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(定格容量750kW・直流入力電圧1000V対応機・17台、665kW機・17台)
総事業費約100億円
融資(プロジェクトファイナンス)幹事行:みずほ銀行
その他の融資行:親和銀行、十八銀行、佐賀銀行、長崎銀行、長崎三菱信用組合、鹿児島銀行、宮崎銀行、みずほ信託銀行
固定価格買取制度(FIT)上の売電単価(税抜き) 36円/kWh
売電開始時期2016年8月
売電先九州電力
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