探訪

日本最大・260MWのメガソーラー、美作市に稼働(page 3)

広大な残置森林で自然環境に配慮、稼働後に希少鳥類を確認

2020/07/21 05:00
金子 憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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リゾート開発が頓挫

 国内最大の太陽光発電所のある美作市作東地区は、岡山県北東部に位置し、中国山地の山あいに伸びる道沿いに集落や田畑が連なる。江戸時代には、姫路と出雲を結ぶ出雲街道の土居宿があり、諸大名が参勤交代の定宿とするなど、宿場町として栄えた。旧作東町は2005年に周辺5町村との合併により美作市の一部となった。

 これだけの規模のメガソーラーが稼働しているにもかかわらず、作東地区の発電所周辺をクルマで走っても、太陽光パネルが目に入ることはほとんどない。パネルを設置した3つのエリアは、いずれも小高い丘陵の頂を含めた斜面にパネルを設置し、麓に森林を残したため、発電設備は木々に隠れ、主要道路からはほとんど見えなくなっている。

 事業用地は、旧ペニンシュラゴルフクラブ湯郷コースの跡地と旧作東セントバレンタインリゾート計画の跡地だった。かつて旧作東町とフランスのセント・バレンタイン市が姉妹都市だったことから、同市にちなみ、宿泊施設なども備えた大規模な複合リゾート施設が計画された。だが、部分的に開発された段階で頓挫し、放置されていた。

 パシフィコ・エナジーは、まずこのリゾート施設の開発跡地を買い取り、川や道を挟んだ3エリアを造成して太陽光パネルを設置する計画を立てた。開発当初、これらを「エリアA」、「エリアB」「エリアC」として詳細な造成設計を進めた。その後、隣接するゴルフ場跡地もメガソーラー用地として一体的に開発することになり、ここを「エリアG」とした。

 しかし、最終的に施工に着手する際の図面には、AとC、そしてGの3エリアで、エリアB がない。実は、開発計画を詰めていく過程で、自然環境への影響に配慮し、エリアBにはまったく手を付けずに残すことにした。残置森林率が、森林法で求める25%を大きく超える41%まで高まったのは、こうした経緯があった(図5)。

図5●着工に際して作成した完成予想図
図5●着工に際して作成した完成予想図
左からエリアG、エリアA、エリアC。3エリアに囲まれた山林地帯(残置森林)が「エリアB」だったが、環境配慮で開発を取りやめた(出所:パシフィコ・エナジー)
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