探訪

火山灰は「水洗」極力避け、まず「吹き飛ばす」、鹿児島・垂水のメガソーラー

豪雨での土砂崩れ、イノシシの掘り込みも

2020/09/29 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 前回のメガソーラー探訪で紹介した鹿児島県垂水市(たるみず)にあるメガソーラー(大規模太陽光発電所)「垂水高峠太陽光発電所」では、桜島の噴火に伴う火山灰が降り積もることがある(図1)。

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図1●火山灰が降り積もった時の様子
(出所:BCPGジャパン)

 この発電所は、太陽光パネルの出力約9.65MW、連系出力8.1MWで、タイBCPGの日本法人、ビーシーピージージャパン(BCPGジャパン:東京都港区)が開発・運営している。BCPGは石油大手Bangchak Petroleumグループで再生可能エネルギー開発を担っている。

 EPC(設計・調達・施工)サービスはJFEプラントエンジ(東京都台東区)が担当し、O&M(運用・保守)は、自社グループのビーシーピージーエンジニアリング(BCPGエンジニアリング:東京都港区)が担当している。

 太陽光パネルは中国のChint Solar(Astronergy)製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 このメガソーラーは、桜島から南東に約12kmに位置する。噴煙を上げ続ける世界的な活火山が、比較的近い場所にあることになる。

 桜島の周辺の風向きは、季節によって変わる傾向にある。冬から初夏の12月~5月にかけてが、南東方向に火山灰が飛来しやすい時期という。

 このような場所にあることから、例えば、近隣地域の墓は、四隅に柱を建てて屋根を設け、屋根の下に墓石などを置き、小屋のようになっている。屋根はもちろん、降灰から墓を守るためのものである。

 メガソーラーでも、稼働当初から火山灰が太陽光パネルに降り積もることを想定し、対策を講じている。

 まず、太陽光パネルを水洗する必要が出てきたときに備え、地下水をくみ上げるポンプがある。これは敷地内に元々あったもので、ポンプの隣に、新たに貯給水設備を追加した。パネル洗浄に使えるようにタンクを満水にしている(図2)。

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図2●給水施設を備える
(出所:BCPGジャパン)

 ただし、水洗の回数は、最小限に抑えている。洗浄作業に伴う費用対効果の面ももちろんあるが、それ以上に、地面の特定箇所に水が集中して流れ落ちることで、土が掘り込まれてしまい、水みちができることを懸念している。

 そこで、水洗の回数を極力、減らしつつ、火山灰による発電量への影響を減らしたいと考えている。このため、落ち葉を吹き飛ばしたりする作業で広く使われているブロワーを優先的に使っている。

 毎年12月~5月ころの火山灰が飛来するシーズンには、年によって回数の違いはあるものの、数回は太陽光パネルが真っ白に覆われてしまう。パネル上の降灰の状況は、電気主任技術者が日々確認してO&Mの担当者に伝え、降灰の度合いによって洗浄するかどうかを決めている。

 降灰の後、すぐに雨が降りそうな気象状況であれば、まずは雨を待って、パネルから流れ落ちる効果に期待する。それでも多く残っていて、発電量に大きく影響しそうな状況であれば洗浄している。

 「垂水高峠太陽光発電所」は、敷地が7カ所にわかれて、合計で約13万m2と広く、太陽光パネルの数も3万7656枚に達する。全面的に洗浄するのは、大変な作業となる。

 実際に、これまで洗浄作業を委託した企業の中には、1度の受託で音を上げてしまい、再度委託しようとしたところ、断られてしまったこともあるという。

 噴火の状況によっては、ブロワーで太陽光パネルに積もった火山灰を吹き飛ばしている間にも、新たな火山灰が積もることもあり、作業のタイミングが難しいようだ。

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