設置角は低く、過積載率は高く
富山市のメガソーラーは、積雪地にある(図7)。
ただし、豪雪に見舞われることはそれほどないという。北陸の太陽光発電所の開発でよく言われる「三重苦」という、積雪による冬の発電量の少なさ、高い設置角による土地の活用効率の低さ、高い設置位置による基礎と架台のコスト増という不利なイメージは比較的、少ない場所としている。
太陽光パネルの設置角は10度に抑えた。近隣には20度以上を選ぶ太陽光発電所が多い中、比較的低い設計になる。
これは、海岸に近く積雪が続くことが比較的、少なく、降り積もったとしても海風が吹いて、すぐに吹き飛ばす効果も期待できるからという。
ただし、設置高は太陽光パネル、PCSともに1m近くに上げている。
ほぼ同じ時期に稼働した、福井県坂井市の福井油槽所の跡地を活用した、同じ規模の発電所でも、同様の設計となっている(図8)。
両メガソーラーとも、連系出力の1.99MWに対して太陽光パネル出力は約2.80MWと、過積載率は約1.4倍とした。いずれもFITの売電単価(税抜き)は36円/kWhで、2017年1月1日に北陸電力への売電を開始している。
同社が日本海側で最初に開発した太陽光発電所は、秋田県男鹿市の出力約2.4MWのメガソーラーで、設置角は30度としていた(図9)。ここでの経験を生かした。
稼働後の発電量は、事業計画時の想定よりも多いという。積雪によって左右される月日はあっても、年単位で大きく発電量が落ちた年はないという。
ただし、坂井市のメガソーラーについては、2017年~2018年にかけての冬季の大雪の影響を受けた。
このシーズンは日本海側の各地で記録的な大雪に見舞われ、広い地域に被害が及んだ。
この際、坂井市のメガソーラーでは、発電設備の損壊などはなかったものの、太陽光パネルに積もった雪によって10日間以上、発電量がゼロの日が続いた。
発電所名 | 富山メガソーラー発電所 |
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所在地 | 富山県富山市四方荒屋(日本海石油の本社敷地内) |
敷地面積 | 約3万2000m2 |
太陽光パネル出力 | 約2802.8kW |
連系出力 | 1990kW |
年間予想発電量 | 約2922MWh (一般家庭約530世帯の消費電力に相当) |
発電事業者 | ENEOS(稼働時は統合前の旧JXTGエネルギー) |
土地所有者 | 日本海石油 |
EPC(設計・調達・施工) | 非公開 |
O&M(運用・保守) | 非公開 |
太陽光パネル | 非公開 (出力265W/枚・1万780枚) |
太陽光パネルの設置角 | 10度 |
太陽光パネルの設置高さ | 1m |
パワーコンディショナー(PCS) | 非公開 |
売電開始 | 2017年1月1日 |
固定価格買取制度(FIT)に基づく売電単価 | 36円/kWh(税抜き) |
売電先 | 北陸電力 |
発電所名 | 坂井メガソーラー発電所 |
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所在地 | 福井県坂井市三国町新保(旧新日本石油の福井油槽所跡地) |
敷地面積 | 約3万2000m2 |
太陽光パネル出力 | 約2802.8kW |
連系出力 | 1990kW |
年間予想発電量 | 約2922MWh (一般家庭約530世帯の消費電力に相当) |
発電事業者 | ENEOS(稼働時は統合前の旧JXTGエネルギー) |
土地所有者 | ENEOSグループ |
EPC | 非公開 |
O&M | 非公開 |
太陽光パネル | 非公開 (出力265W/枚・1万780枚) |
太陽光パネルの設置角 | 10度 |
太陽光パネルの設置高さ | 1m |
パワーコンディショナー(PCS) | 非公開 |
売電開始 | 2017年1月1日 |
FITに基づく売電単価 | 36円/kWh(税抜き) |
売電先 | 北陸電力 |