探訪

積雪地での「両面ガラス・両面発電」の効果は? 十勝の地場企業によるメガソーラー(page 2)

太陽光パネルの交換で苦慮、除雪では新手法を積極的に導入

2020/11/30 06:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

両面発電の実際の効果は?

 ティー・ワイの開発の特徴は、発電設備については、さまざまな製品を採用していることにある。太陽光パネルやパワーコンディショナー(PCS)については、さすがに地元の企業は手掛けていないので、大手メーカーの製品を採用する。

 メガソーラーの集中型のPCSについては、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を多く採用している。このほか分散型や低圧案件向けでは、国内外のさまざまなメーカーの機種を採用している。

 太陽光パネルについては、さまざまなメーカー、幅広いタイプの製品を採用している。いちはやく両面ガラスタイプ、両面発電タイプを採用するなど、先端的な製品の採用にも意欲的である。

 ティー・ワイは、他の発電事業者向けに、太陽光発電所のEPC(設計・調達・施工)サービスやO&M(運用・保守)サービスも手掛けている。これらのサービス事業で顧客の要望に対応したり、適切な提案を実現する目的もあり、さまざまな製品を採用している。

 「実際に自ら使ってみないとメンテナンスなどでの適切な対応が難しい」と感じているという。

 また、今後、セカンダリー市場で稼働済み発電所の購入に関わる機会が出てきた場合には、さまざまな発電設備を使っていることで、より適切な評価が可能になる利点も出てくるのではないかと予想している。

 清水町にある太陽光パネルの出力約1.39MW、連系出力1.0MWのメガソーラーは、いち早く両面ガラスの太陽光パネルを採用した案件だった。2014年8月に稼働してから6年が経っている。

 ドイツのソーラーワールド製で、当時、両面ガラスの太陽光パネルを採用したメガクラスの発電所は珍しく、世界初の稼働だったのではないかという。設計当時、両面ガラスの太陽光パネルを販売していたメーカーは、ソーラーワールドのみだった。

 また、両面発電の太陽光パネルも同じように、低圧の発電所でいち早く採用していた。

 カナディアン・ソーラーが早期に発売した製品で、隣には同じカナディアン・ソーラー製で従来型の片面発電の製品を設置した発電所があり、これら2種類のパネルの出力仕様は同じなので、運用状況を比較できる。

 両面発電の太陽光パネルは、裏面側の発電分を反映せず、表面側の出力だけを製品の仕様とする。ティー・ワイの低圧の発電所の場合、片面発電と同じ寸法で同じ出力の仕様になっている。

 この発電所を見ると、発電量は、両面発電タイプの方が多少の変動はあるが年間で7%ほど多いという。

 片面発電タイプと同じ出力の仕様で、発電量が多い利点があることから、変更認定となる条件(合計出力が3kW、または、3%以上の変更)に抵触せずに売電収入を増やしたい発電所にとっては、魅力があるのではないかとみている。

 ティー・ワイがより大きな利点を感じているのは、両面発電パネルの方が積雪時に上に積もった雪が滑り落ちやすいことだ。

 十勝は豪雪地域ではないものの、冬季にはある程度、雪が積もる日はある。

 この時に、両面発電タイプの太陽光パネルは、仮に表面が雪で覆われてしまって発電量がゼロだったとしても、地面に降り積もった雪に反射した太陽光がセル(発電素子)の裏面側にあたって発電する。

 この裏面の発電によって、太陽光パネルの温度は片面発電タイプよりも高くなり、雪が早く融け、より早く滑り落ちる効果があると推測している。

 このように、さまざまなメーカーのさまざまな種類の太陽光パネルを使って自社グループで発電を続け、さらに、顧客の発電所のメンテナンスも担当してきたなかで感じていることは、「年月が経つ間に、メーカーを問わずある程度の不具合が生じるのは、太陽光パネルという製品の性質上、避けられない」という点である。

 とくに、「クラスタ異常」の発生が増えてきていると感じている。

 「クラスタ異常」とは、不具合によってセルの出力が低下した結果、バイパスダイオードが働いて、3分の1ごとにわかれている複数セルの直列回路であるクラスタごと発電を停止している状態を指す。

 インターコネクタの断線、はんだ不良、バイパスダイオードのショートによって生じる場合が多いことが知られている。

  • 記事ランキング