宮城県黒川郡大郷町の山あいに、太陽光パネルの出力約28.8MW、連系出力が18.9MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「大郷太陽光発電所」がある(図1)。
大郷町大松沢一ノ沢の山林だった土地を活用した。2018年4月に着工し、2019年12月に運転を開始した。稼働してから1年が経った。
発電事業者は、タイの石炭関連企業であるBanpu(バンプー)グループが出資している特定目的会社(SPC)となる。
バンプーは、本国のタイのほか、中国、シンガポールなどで太陽光発電所を開発・運営している。日本でも、2014年に太陽光発電所の開発をはじめ、現在は稼働済み案件が11カ所・合計出力約210MW、建設中が2カ所・約30MWとなっている。
大郷太陽光発電所は、日本法人のバンプージャパン(東京都千代田区)が「開発委託」と呼ぶ手法で手掛けた案件の1つである。
「開発委託」は、同社の稼働済みの11カ所のうちの3カ所、建設中の2カ所が該当し、多くを占めている(関連インタビュー)。
この5カ所のうち、大郷太陽光発電所を含む4カ所が、中国の太陽光パネル大手、トリナ・ソーラーの実質的な100%子会社で、日本国内で太陽光発電プロジェクトを手がけているトリナ・ソーラー・ジャパン・エナジー(東京都港区)が開発の業務を担当している。
大郷太陽光発電所以外では、稼働済みの山形県川西町の約25.4MW(2020年11月稼働)、福島県矢吹町の約9.83MW(2020年12月稼働)、建設中の宮城県気仙沼市の約20MW、福島県白河市の約10MW(いずれも2021年に稼働予定)の案件が、トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーへの開発委託となっている。
大郷太陽光発電所では、トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーがプロジェクト開発からEPC(設計・調達・施工)サービスの監理、稼働後の20年間のO&M(運用・保守)を担っている。EPCサービスは、juwi(ユーイ)自然電力(東京都文京区)も担当した。
敷地面積は約51万3600m2で、年間発電量は、一般家庭約6504世帯の消費電力に相当する、約3138万6000kWhを見込んでいる。
太陽光パネルは、トリナ・ソーラー製を約8万4000枚並べた。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製の定格2300kWという大容量機を採用した(図2)。