探訪

今冬の豪雪にも適切に対応、宮城県大郷町のメガソーラー(page 3)

タイのバンプーがトリナ・ソーラーに委託して開発

2021/02/02 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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割れたパネルの処理で独自案

 稼働後には、思わぬトラブルが生じている。数百枚もの太陽光パネルのカバーガラスが割れたという。カラスによる石落としが原因と推測された。

 カバーガラスが割れた太陽光パネルでも、問題なく発電できている発電所の例は多い。発電量の維持だけを考えれば、交換せずにそのまま使っても、大きな影響は生じないと考える発電事業者もいる。

 同社は、O&Mにおいて、予防保全を重視している。カバーガラスの割れた太陽光パネルは、ガラスが割れたことを起点に、セル(発電素子)に何らかの異常が生じる可能性もある。雨が降れば、割れた場所から発電しているセルに雨水が沁み込んで漏電の原因になりかねない。

 そこで、まず割れた太陽光パネルを交換した。それと同時に、そのままでは再度、カラスが石を落として割られてしまうので、根本的な対策として、カラスを遠ざけるような対策を模索している。

 このうち、太陽光パネルの交換では、同じ寸法、同じ出力の製品が、翌年にはなくなってしまい、入手が難しくなるという問題に直面した。これは、固定価格買取制度(FIT)で売電している国内の多くの太陽光発電事業者が共通に苦慮している。

 FITのルールでは、認定後に太陽光パネルの出力を3kWもしは3%増加した場合、その変更認定となり、買取価格が変わってしまいかねない。

 太陽光パネルメーカーの努力で、年ごとの製品性能が進化していること自体は、太陽光業界とってプラスだが、FITの認定で指定した製品を入手できなくなるという点では、リスクとなっている。

 大郷太陽光発電所の場合、なんとか寸法と出力の仕様がほぼ同じ製品を見つけて入手でき、割れた全品を交換できた(図4)。

図4●割れた太陽光パネルを交換している様子
(出所:バンプージャパン)
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 もし、こうした製品を入手できなかった場合に、どのような手段を講じるかまで見据えた対応を想定したという。

 カバーガラスが割れた太陽光パネルの処理には、さらに独自の構想がある。

 同発電所は、トリナ・ソーラー製の太陽光パネルを採用している。同社は、被災などによって破損した自社製の太陽光パネルに関し、回収とリサイクルに関与することを表明している。

 バンプージャパンでは、こうしたメーカーの姿勢を高く評価しつつも、大郷太陽光発電所のような「カバーガラスが割れているのみ」という状況の場合、損傷しているガラスのみ交換できるような対策が理想と考え、パネルすべてを分解・裁断するようなリサイクルの手法にゆだねることを避けている。

 「割れてしまったガラスだけはがして取り換え、そのほかの部分は壊さずにそのまま使えるような手法が理想。再エネと並行して、サーキュラーエコノミー(循環型経済)も重視している」(バンプージャパンの志摩渉社長)。

 太陽光パネルの廃棄やリサイクルは模索の段階にある。こうした新たな視点を加えて、より良い処理の仕組みを確立できることがのぞましい。

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