探訪

千葉・山武の発電所にみる、インフラファンドに組み込まれたメガソーラー(page 3)

予防保全やリスク回避を重視、「特定卸供給」にも積極的

2021/05/18 18:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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災害リスクにどう向き合うか

 インフラ投資法人の投資対象としての太陽光発電所の難しさとして、ハザード(危害要因)のリスクがあるという。近年は、数十年に一度とされる強風や豪雨を伴う台風などが頻繁に上陸、通過している。

 その地域で見込まれる強風や豪雨に十分に耐える設計としていても、それをはるかに超えるレベルの強風や豪雨に見舞われた場合、発電設備が損壊したり、立地している土地が崩れたりする事態も起こり得る。

 インフラ投資法人でも、デューデリジェンス(投資対象の価値やリスクの調査)による評価の及ばない領域となる。損害保険で一義的には対応できるが、こうしたリスクへの向き合い方が問われるという。

 タカラレーベン・インフラ投資法人の保有案件で、こうした被災を経験した発電所がある。福島県矢祭町にある連系出力1.22MW、パネル出力約1.33MWの「LS福島矢祭発電所」で(図4)、2019年夏から秋の台風にともなう、数十年に一度というレベルの豪雨によって、斜面が崩れてしまった。

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図4●LS福島矢祭発電所
図4●LS福島矢祭発電所
下の画像が復旧後。斜面で薄緑色と緑色にみえる部分が補強して復旧した場所(出所:タカラレーベン・インフラ投資法人)
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 当初の斜面も、この地域で想定される豪雨に十分に耐え得る設計だったが、想定外のレベルの豪雨には持ちこたえられなかった。

 この斜面は、以前と同じように復旧するのではなく、より強い構造に変えて復旧した。想定外の豪雨が各地で頻発していることから、この地域でもまた同じレベルの豪雨に見舞われる恐れがあると考え、復旧に反映させた。

 また、この年の台風では、千葉県で強風による被害が相次ぎ、東京電力パワーグリッドの特別高圧送電線の鉄塔が倒れるなど、広い地域で停電が続いた。

 タカラレーベン・インフラ投資法人が千葉県内で所有する太陽光では、フェンスが一部倒れるといった被害はあったものの、発電設備が大きく損壊するような被害はなかった。

 山武市のメガソーラーでも、広域停電の影響を受け、約1週間売電できなかった。

 山武市のメガソーラーは(図5)、EPC (設計・調達・施工)サービスは東芝プラントシステム、O&M(運用・保守)は、東洋ビルメンテナンスが担当している。太陽光パネルはソーラーフロンティア製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用している。

図5●LS千葉山武東・西発電所の敷地内の様子
図5●LS千葉山武東・西発電所の敷地内の様子
(出所:タカラレーベン・インフラ投資法人)
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 タカラレーベン・インフラ投資法人の所有案件では、山武市のメガソーラーと同じように、O&Mを東洋ビルメンテナンスや、関電工の子会社であるエナジーO&M(東京都港区)が担当している発電所が多い。

 これは、タカラレーベングループのO&Mの選定基準と関連し、O&Mの品質とともに、多くの発電所のO&Mを委託することによるコスト削減も目的という。

 O&Mでは、例えば、除草を重視している。上場しているインフラ投資法人の保有案件であり、近隣地域にも手入れの行き届いた発電所であることを示す必要があると考え、雑草が繁茂するような状況にならないよう、比較的、頻繁に除草している。

 PCSについても、予防保全を重視し、メーカーが推奨する長期の修繕計画に沿って運用している。こうした重要な設備については、Jリートの銘柄に組み込んだビルなどと同様の方針で臨んでいるという。

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