稼働後に大きな変化もあった。隣接地に、新たに公共の施設が建つことになった。これによって、甲信支店内のメガソーラーの太陽光パネルの一部に、事業計画時には想定していなかった影がかかることになった。
この影の影響については、公共施設側から協和エクシオに協議の打診があった。こうした場合、予想される売電ロス分が補償されることがほとんどとなっている。
笛吹川やその支流に近いこともあり、当初、鳥のフンの汚れを懸念していた。しかし、実際には、太陽光パネルに鳥がフンを落としていくことはあるが、雨が降ればほとんど流れ落ち、懸念していたほど、汚れに悩まされていない(図2)。
川を挟んだ向かい側には、同じように屋根上を活用したメガソーラーがある。こちらは、水鳥のフンに悩まされ続けており、同じ川の対岸にありながら、大きな違いがある(関連コラム:高温に積雪、鳥の糞害、幾多のトラブルを乗り越えた甲府の太陽光)。鳥の住処や活動の拠点との距離などの違いによるようだ。
これまで2回、ドローン(無人小型飛行体)を使って太陽光パネルに異常がないか点検した。グループ会社にドローン点検を手掛ける企業が2社(エクシオインフラ、エクシオテック)あり、そのサービスを活用し、2018年と2020年に実施した。
ドローンで空撮した熱分布の画像から、異常が見つかった太陽光パネルは1枚だけと、少なかった。このパネルはカーポートのもので、すぐに交換した。
また、稼働から約5年が経ったころ、記録的な強風を伴うと予想された台風の通過前に、屋根に太陽光パネルを固定しているボルトの締め具合を点検した。緩んでいる状態が見つかったボルトは1本もなかった。
建物屋根にある太陽光パネルは、屋根の上を歩けば目視点検のほか、パネル交換やボルト締めなども容易にできるが、カーポート上のパネルは、上に上らなければ作業できない。
売電を開始してから、カーポートの上に上って作業したのは2回だけという。異常が見つかった太陽光パネルを交換した時と、台風前のボルトの点検時のみである。
こうしたカーポート上での作業が必要な時には、甲信支店内に常備している高所作業車を使える。これは通信インフラ関連の同社ならではの利点といえる。
太陽光パネルの洗浄を検討したことがあるが、費用対効果の利点を見いだせずに見送った。少し汚れることはあっても雨でほぼ流れ落ちることに加えて、カーポート上で洗浄の作業をするのは、通常の地上設置や屋根上に比べて難しいこともあった。
カーポート上の太陽光パネルを洗浄する時に、安全を考慮して下に駐車しているクルマを移動させる必要がある。この面で、洗浄作業の候補日は、従業員の通勤がほぼない土日・祝日に限られる。