探訪

「縁石」に固定した配水池上のメガソーラー、その利点と課題

発電量は冬季に好調も、雑草の影響は予想以上に

2021/07/29 08:25
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 神奈川県相模原市にある「谷ヶ原配水池」には、珍しいスタイルのメガソーラー(大規模太陽光発電所)がある(図1)。

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図1●谷ヶ原配水池の上に太陽光パネルを並べた
配水池は地中にある。2015年に撮影(出所:日経BP)
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 水道インフラの一端を担う「配水池」の上に、地面にそのまま置くかのように太陽光パネルが並んでいる。基礎や架台を強固に築いて太陽光パネルを固定する、一般的な地上設置型とは大きく異なる。これは、立地上の理由による。

 国内で今後、さらに太陽光発電所を開発するには、これまでにない立地を活用する必要も出てくる。配水池に限らず、場所にあわせて、このような独自の手法で太陽光発電設備を設置する試みが重要になってくるだろう。

 このメガソーラーを開発・運営しているのは、神奈川県の企業庁である。

 同庁は、多目的ダムなどを活用し、水を供給する水道事業とともに、1943年以降、ダムの水を使った水力発電などに取り組んできた。

 太陽光発電は、東日本大震災による電力の安定供給への影響を踏まえ、神奈川県が「かながわスマートエネルギー計画」を打ち出したことにより、本格的に取り組みをはじめた。

 太陽光発電そのものは、相模川発電管理事務所の出力50kW、城山湖展望台の出力4.8kWといった発電システムが1998年以降、稼働していた。余剰電力買取制度に基づいて売電していた。主な目的は太陽光発電の啓蒙だった。本格的な売電を目的とした設備ではなかった。

 固定価格買取制度(FIT)がスタートして、同庁は本格的に売電事業に参入した。まず、愛川町半原にある出力1.896MWのメガソーラーが、2013年5月に売電を開始した。

 2カ所目のメガソーラーとなったのが、谷ケ原配水池の連系出力が1MW、太陽光パネルの出力が約1.17MWだった。2014年12月に売電を開始して、6年7カ月が経過した(2015年4月に掲載したメガソーラー探訪)。

 正式な名称は「谷ヶ原太陽光発電所」だが、現在は「湘南ベルマーレ 谷ヶ原太陽光発電所」という愛称を積極的に紹介している。

 「湘南ベルマーレ」は、神奈川県内を本拠に、J1リーグを舞台に戦うサッカークラブである。その名を発電所名に加えて愛称としたのは、2018年4月から、湘南電力(神奈川県小田原市)への「特定卸供給」に移行し、地産地消の電源として活用し始めたことによる。

 特定卸供給では、メガソーラーにとっての売電先は、東京電力パワーグリッド(東電PG)のままで変わっていない。湘南電力が東電PGと特定卸供給の契約を結び、この契約に基づいて、メガソーラーの発電電力が、東電PGから湘南電力に供給されている。

 特定卸供給の対象となっているのは、谷ヶ原配水池のメガソーラーのほか、愛川のメガソーラー、早戸川の小水力発電所の発電電力である。

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