サイト内に農業用ため池、町と水利組合と連携して管理、宮城・松島のメガソーラー

タカラレーベンがトリナの開発案件を事業化

2021/09/14 06:55
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 宮城県松島町の山あいに、連系出力12.0MW、太陽光パネルの出力が約14.3MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「LS宮城松島発電所」がある(図1)。

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図1●松島町根廻にある約14.3MWの「LS宮城松島発電所」
図1●松島町根廻にある約14.3MWの「LS宮城松島発電所」
(出所:タカラレーベン)
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 松島町根廻にある、三陸自動車道・松島北インターチェンジの北側にある土地に立地する。この土地は、土砂の採石場だった。その跡地が遊休地となっており、これを活用した。

 発電事業者は、分譲マンション大手のタカラレーベンが出資する特定目的会社(SPC)である。

 同社グループは、本業で培った開発力を生かし、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーに取り組んでいる。

 2021年6月末時点で191カ所・合計出力約261MWを開発・運用している(認定数、タカラレーベン・インフラ投資法人分を含む)。今後は、固定価格買取制度(FIT)に頼らない発電事業の構築や電力の相対取引への参入を目指し、2025年3月期末の累計出力で約360MWの規模を目指す。

 バイオガス発電事業にも参入した。静岡県富士宮市において、牛糞を発酵させて得る可燃ガスを燃料にした発電所の稼働を予定している(図2関連ニュース)。

図2●静岡県富士宮市にあるバイオガス発電所
図2●静岡県富士宮市にあるバイオガス発電所
(出所:タカラレーベン)
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 松島町のメガソーラーは、トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジー(東京都港区)による開発案件である。同社から約43億2000万円で取得して事業化した。トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーは、中国の太陽光パネル大手、トリナ・ソーラーの実質的な100%子会社で、日本国内で太陽光発電プロジェクトを手がけている。

 事業主体はSPC(特定目的会社)になる。認可や権利の取得のほとんどや、EPC(設計・調達・施工)サービス、稼働後のO&M(運用・保守)サービスまで、トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーが一貫して担当することに利点がある。

 太陽光パネルはトリナ・ソーラー製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した(図3)。

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図3●トリナ・ソーラー製の太陽光パネル、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCS
図3●トリナ・ソーラー製の太陽光パネル、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCS
(出所:タカラレーベン)
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 FITに基づく売電単価は24円/kWh(税抜き)で、2020年9月に売電を開始した。初年度の年間予想発電量は、一般家庭約6000世帯分の消費電力に相当する、約1万7960MWhを見込んでいる。

 宮城県の規定する開発要綱の対象となる案件で、認可や権利関係はトリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーがほぼクリアした状態で引き継がれた。

 大きな特徴に、ため池がある(図4)。

図4●ため池の様子
図4●ため池の様子
(出所:タカラレーベン)
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 元の敷地の中央付近に、農業用のため池があった。ここに雨水をためて、下流の田んぼで水が必要な時期に、適切に流していく。

 メガソーラーの設置に際し、この池を増強した。池の規模を約1.8倍に拡大した上、より強固な防災機能を加えた。農業用水という本来の役割に加えて、メガソーラー内に降った雨水を、短時間に下流に流さないための調整池としての役割も加えた。

 農業用水としても使うため、従来のため池としての運用を継続している。雨水は濁ったまま敷地外に流さず、ある程度の期間、貯めておき、泥などを池の底に沈殿させて上澄みのきれいな水を敷地外に流している。

 池の増強や運用については、トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジーによる開発当初から地域の関係者と協議し、SPCが松島町、現地の根廻水利組合と協定を結んでいる。発電所の稼働後は、町や水利組合と役割を分担し、管理している。

 メガソーラー内は、区画ごとに入口からの高低差はあるものの、全体としてある程度、平らな場所に太陽光パネルを設置できた。

 南西端などに残地森林があるものの、影による発電への悪影響などはほぼないという(図5)。

図5●残地森林を設けた
図5●残地森林を設けた
(出所:タカラレーベン)
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 東北地方とはいっても、冬季に積雪に困る地域ではないようだ。設置角は15度、地面から太陽光パネル最低部までの高さは80cm~1mで東北にしては低めといえる。

 これまでに一度だけ、豪雪に見舞われたことがある。2021年2月ころだった(図6)。発電量には影響したが、発電設備が損壊するといった大きな被害はなかった。

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図6●積雪時の様子
図6●積雪時の様子
(出所:タカラレーベン)
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グループ最大の勝浦の30MWも竣工

 千葉県勝浦市浜行川では、出力約30MWの「LS千葉勝浦発電所」が稼働した(図7)。2020年11月に売電を開始し、グループで最大規模の太陽光発電所となっている。

図7●LS千葉勝浦発電所
図7●LS千葉勝浦発電所
(出所:タカラレーベン)
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 このメガソーラーの開発では、新生銀行を主幹事とするプロジェクトファイナンスを組成した。事業主体となるSPCに、新生銀行と三菱UFJリースが融資した。

 事業用地の多くは市から借りた。用地全体は約124万m2あり、林地開発許可に伴って残地森林や新たな植樹区域の設定を求められ、発電設備を設置した区域は約49万m2となった(図8)。

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図8●造成時の様子
図8●造成時の様子
(出所:タカラレーベン)
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 900m×600mという森林のほか、太陽光パネルが並ぶ区画の中央に、幅30mの林地帯が求められた(図9)。

図9●太陽光パネルの設置区域内にも植林
図9●太陽光パネルの設置区域内にも植林
(出所:日経BP)
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 アレイ(太陽光パネルの設置単位)はパネル6段とし、合計8万2800枚を並べた。杭基礎は深さ2mまで打ち込んだ。アルミニウム製架台は、新型コロナウイルス感染症の影響で、納入がすこし遅くなった。

 近隣地域の日常生活に支障をきたさないように配慮した。現地まで新たに私道を敷設して、工事に伴う大型車などの進入路とした。

 この私道は竣工後、近隣地域の住民にも開放している。新たな生活道路として利用してもらうことで、交通の利便性の向上に寄与している。



●発電所の概要
発電所名LS宮城松島発電所
所在地宮城県宮城郡松島町根廻
事業用地の敷地面積約35万8932m2
発電設備の設置面積約10万4139m2
発電事業者タカラレーベンが出資している特定目的会社
所有者タカラレーベン・インフラ投資法人(東京都千代田区)
連系出力12.0MW
太陽光パネル出力14.2464MW
年間予想発電量(初年度)1万7959.49MWh
EPC(設計・調達・施工)の監理トリナ・ソーラー・ジャパン・エナジー(東京都港区)
EPCサービスjuwi自然電力
O&M(運用・保守)サービストリナ・ソーラー・ジャパン・エナジー
太陽光パネルトリナ・ソーラー製
(単結晶シリコン型、出力400W/枚品、3万5616枚)
パワーコンディショナー
(PCS)
東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(定格出力3000kW機、4台)
売電開始日2020年9月16日
以前の発電事業者からの発電所の取得日2020年12月1日
取得額約43億2000万円
固定価格買取制度(FIT)に基づく売電単価24円/kWh(税抜き)
売電先東北電力ネットワーク
●発電所の概要
発電所名LS千葉勝浦発電所
所在地千葉県勝浦市浜行川
事業用地の敷地面積約124万0669m2
発電設備の設置面積約49万3760m2
発電事業者タカラレーベンが出資している特定目的会社
連系出力25.004MW
太陽光パネル出力約30.636MW
年間予想発電量約3万3918MWh
(一般家庭約1万世帯分の消費電力に相当)
EPCサービス大和ハウス工業
O&MサービスエナジーO&M
太陽光パネルJAソーラー製
(単結晶シリコン型、出力370W/枚品、8万2800枚)
PCS華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)製
(定格出力40kW機・617台、36kW機・9台)
売電開始日2020年11月20日
FITに基づく売電単価36円/kWh(税抜き)
売電先東京電力パワーグリッド