探訪

一関の先進メガソーラー、IT駆使して積雪によるロスを最小化(page 2)

精緻な遠隔監視から、自家消費、蓄電池の併設へ

2021/11/19 08:25
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

 束稲のメガソーラーは、山の上にある(図4)。冬にはある程度の積雪があり、気温が低くなる。積雪期には、氷点下まで気温が下がっている時間が長い。

クリックすると拡大した画像が開きます
図4●山の上にあり冬は雪が積もる
図4●山の上にあり冬は雪が積もる
(出所:エプセム)
クリックすると拡大した画像が開きます

 この環境によって、太陽光パネルに降り積もった雪は、そのまま放っておくと、寒さによってカバーガラスの表面に凍りついてしまう。パネルに積もった雪は、凍り付いてしまうと、その後、なかなかパネルから滑り落ちなくなる。

 太陽光パネルを覆って発電量が極端に下がるだけでなく、重量物がパネルに載り続けている状態になるので、パネルや架台に過剰な応力がかかり、長期的な信頼性が低下してしまう恐れもある。

 そこで、積雪するとできるだけ早く、凍り付いてしまう前に、太陽光パネルに積もった雪を降ろすことにした。

 この作業は、地元のシルバー人材センターに委託している。農家が多い地域であり、本来は収入や本業の作業に限りがある時期に、ある程度、定期的に、除雪という手慣れた作業で収入が加わる利点が、地元側にもあるのではないかとしている。メガソーラーに来て除雪の作業を繰り返す中で、冬の恒例の慣れた仕事で臨時収入が得られれば理想的だろう。

 除雪の作業でも、1分ごとに変わる状況がひと目でわかる遠隔監視システムが効果を発揮する。除雪を委託するエプセム側は、除雪が終わったストリングの発電量が一気に回復するので、その場所の除雪が完了したことがすぐにわかる(図5)。

図5●除雪の効果
図5●除雪の効果
積雪時の時間ごとの発電状況。太陽光パネル上の雪が緩み始めた10時ころから除雪を始め、発電量が大きく向上するストリングが増えている(出所:エプセム)
クリックすると拡大した画像が開きます

 除雪の作業者も、その場で表示画面を見つつ作業しているので、作業の残り状況がリアルタイムでわかり、励みになる。もし、除雪し忘れてしまった場所があったとしても、表示画面ですぐにわかるので、忘れたまま帰宅するといったミスを防げる。

 寒い中での作業になるが、東隣にはエプセムの事業所がある。この建屋の中で、暖をとりながら過ごすことができる。

 このように、積雪にもうまく対応してきたが、7年目となる2020年の冬には、発電量が大きく下がった。「とにかく積雪が続いて、晴れる日がわずかだった」という。

 これから迎える2021年の冬、新たな対策を試みる。それは、地下水をくみ上げて太陽光パネルの上から流す、というものだ。

 地下水は年を通して水温は約15℃で安定している。冬に流せば暖かい。雪を溶かす効果、凍結を防ぐ効果を期待できる。

 山の上にありながら、太陽光パネルの割れなどの被害は少ない。7年間のうちに交換したのは、約9000枚のうち15枚程度にとどまる。

 カラスなどによるガラスの割れは、ほとんどない。カラスの天敵であるタカやトンビなどの猛禽類が多く生息している地域のためではないかとみている。

 また、施工時に現地で全数検査するといった念入りな対応も奏功しているようだ。

  • 記事ランキング