探訪

一関の先進メガソーラー、IT駆使して積雪によるロスを最小化(page 3)

精緻な遠隔監視から、自家消費、蓄電池の併設へ

2021/11/19 08:25
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 このように開発した太陽光発電所が岩手県一関市千厩町などあと4カ所ある。出力約2MWが2カ所、同1MW、同500kWである(図6)。

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図6●東北で開発した他の発電所
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図6●東北で開発した他の発電所
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図6●東北で開発した他の発電所
岩手県千厩2発電所(左上:出力1MW)、岩手県千厩3発電所(右上:2MW)、岩手県野土発電所(左下:500kW)、宮城県金成発電所(右下:2MW)(出所:エプセム)

 4カ所のうち2カ所は売却した。残りの2カ所は所有している。当初は、すべて売ることも覚悟していたが、資金繰りが好転し、所有し続けられる状況になったという。

 小規模のベンチャー企業であることから、最初の束稲のメガソーラーの時点で、資金調達に苦労していた。事業資金は金融機関から借りようと考えた。しかし、どの金融機関も融資には至らなかった。1行のみ、完成した頃に融資するという条件で、融資を受けられる見込みが立ち、設備の調達を担ったサンデン商事が発電設備・資材を発注した(前回の掲載記事)。

 しかし、その後、この金融機関から、融資の実行が完成後になると伝えられた。それでは発電設備・資材の支払いに間に合わない。そこで、この金融機関からの融資を諦め、サンデン商事からの借り入れに切り替えた。サンデン商事は、その資金をメガバンクから借り、エプセムに貸した。

 買取価格は40円/kWh(税抜き)である。年間発電量は約250万kWhを見込み、年間9000万~1億円の売電収入を想定した。稼動1年目の売電実績は1億円を若干、下回る結果となった。それでも一般的な水準で見れば好調である。

 ここで、自社開発した遠隔監視システムが大きな利点をもたらした。

 地方の金融機関2行が、借り換えの融資を希望してきた。いずれも建設前には、融資を断られた金融機関だった。1年目の実績に加え、ストリングごとの発電量を分単位で把握でき、履歴も確認できることなどが評価され、融資の条件が有利になった。このうちの1行から、相対的に有利な条件で融資を受け、借り替えることになった。

 その後も、メガソーラーの売電状況が好調で、資金繰りはどんどん改善していった。残りの4カ所もすべて売ることも想定していたが、資金繰りや融資条件の改善によって、売却したのは2カ所で済み、残りの2カ所は保有し続けている。

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