探訪

一関の先進メガソーラー、IT駆使して積雪によるロスを最小化(page 4)

精緻な遠隔監視から、自家消費、蓄電池の併設へ

2021/11/19 08:25
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 思わぬ展開から所有することになったメガソーラーもある。長崎県諫早市にある出力約2MWである(図7)。

図7●出力約2MWの長崎県諫早発電所
図7●出力約2MWの長崎県諫早発電所
(出所:エプセム)
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 関東の取引先企業の関連で関わった太陽光発電所の開発が、長崎にも派生した。そこでの施工を受注した。

 この発電所の完成間近になって、発電事業者が経営難に陥った。エプセムへの施工費も7割は支払い、残り3割は未払いとなった。2020年3月、新型コロナウイルス感染症の影響が本格化し始めたころだった。

 この発電所を巡って金融機関などと相談や交渉を続ける中で、金融機関から、エプセムに買って欲しいという打診があった。

 移動に制約の大きな状況で現地を視察して、かつ、購入を決断できる企業は、なかなか存在しない。「エプセムなら、開発から施工の状況を熟知していて、あとは資金の問題だけだろう。融資はするから」。こうして購入した。

 これまでの岩手県などの発電所に比べ発電量の多さに驚いているという。九州電力送配電による出力抑制の実態にも驚き、こちらは同社によるオンライン制御に変えて、相対的に売電ロスを抑えている。

 また、連系用の昇圧変圧器に特徴がある。一般的な、1つの筐体に500kWの昇圧変圧器を4台収めた機種などに対して、500kWの単機を4カ所に置く構成とした。PCSとともに昇圧変圧器も分散させた(図8)。

図8●昇圧変圧器は500kWごとに分散
図8●昇圧変圧器は500kWごとに分散
施工中の様子(出所:エプセム)
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 今後、自家消費や蓄電池併設への取り組みも積極的に進めていく。まず、建て替え中の自社の新たな本社において、太陽光発電電力をより多く活用する。電気自動車(EV)への充電にも、太陽光発電を使う計画である。

 岩手県において、蓄電池併設型の太陽光発電所も開発している。蓄電池に貯めておけば、電力の市場価格が高い夜間なども売電できる上、固定価格買取制度(FIT)後、地域の安いベース電力として活用しやすくなると見ている。

●発電所の概要
発電所名束稲太陽光発電所
所在地岩手県一関市東山町田河津
敷地面積約4万m2
発電事業者エプセム(埼玉県川口市)
出力約2.2MW
年間予想発電量約250万kWh
設計・施工エプセム
調達サンデン商事(東京都港区)
O&M(運用・保守)エプセム
太陽光パネル東芝製
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
投資額約6億2000万円
売電開始時期2014年9月
買取価格40円/kWh(税抜き)

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