壁面と屋根上に環境配慮設備
千葉県市川市二俣の沿岸部には、1960年代から二俣団地と呼ばれた大規模な防衛庁官舎があった。だが、老朽化に伴う官舎全体の集約化や借り受けへの移行によって2017年に廃止された。その跡地に2019年1月、大規模な物流施設が完成した。
「ESR市川ディストリビューションセンター(以下、市川DC)」で、敷地面積10万3627m2に4階建て、ワンフロア当たりの賃貸面積は、東京ドームとほぼ同じ5万m2、延床面積は20万5213m2に達する。首都圏湾岸地域で最大級の物流施設になる。トラックバース216台のほか、ラウンジ・ショップや託児所も備えている。
国内外で大型の物流施設を展開するESR(東京都港区)が建設・運営している。ESRは、香港にグループ本社を置き、アジア太平洋地域で物流施設を開発している。⽇本では24 の物流施設を竣⼯させ、現在、8 プロジェクトを開発している。
「市川DC」は高速道路のアクセスが良いほか、JR京葉線二俣新町駅も徒歩圏内のため、比較的ひと目に付きやすい。物流施設というと無味乾燥な巨大な箱のような建造物をイメージするが、市川DCのメインエントランスの壁面には460m2もの壁面緑化が施工され、利用者や近隣に潤いのある空間を提供するとともに、建物の運営にとっても熱負荷を軽減するメリットもある(図1)。
加えて、市川DCの屋根上には、地上からはまったく見えないものの、環境負荷を低減する設備がある。合計出力で約3MWものメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働しており、屋根上太陽光としては国内で最大級となる(図2)。