一方で、予想していなかった不具合も出てきた。池の周辺に住みついている小動物のヌートリアが、池を泳いでフロートにはい上がり、電線をかじって損傷させる被害が起きた(図5)。
ヌートリアは、外来の小型哺乳類で、北米に多く生息している。カピバラに似た、可愛らしい容姿をしているが、日本固有の生態系を脅かしたり、農作物を食べたりするだけでなく、巣穴を広げることで河川の堤防や池の堤体を決壊させた例まで報告されており、駆除計画を策定した地方自治体も多い。
二川工業製作所の水上太陽光発電所では、兵庫県内で被害が目立ち、河原山池のほか、桜上池(福崎町)、駒が池(加西市)という3カ所で、フロート上で電線がヌートリアにかじられて損傷した。
河原山池では、堤体の工事が始まると、被害は収まった。また、寒い時期は比較的、被害に遭うことが少ない傾向にある。
新しい電線に交換するだけでなく、保護用のカバーを追加して復旧している。しかし、その上からかまれ続けて、再び損傷してしまうこともある。有効な対策を見い出せず、対応に苦慮している。
また、落雷の被害にも遭った。焼野池の太陽光発電所では、太陽光パネルに直撃雷が落ちたとみられる。パネルやフロートなどに落雷による損傷の痕跡が残っていた(図6)。
水面に落雷し、太陽光パネルが損傷した発電所もある。いずれもすべてのパネルのうち4分の1から3分の1が損傷して交換した。
また、水面に浮かぶ設備だからと言って、雑草が生えないわけではない。周囲から土と種が飛んでくるので、フロート上や電線の保護管などの上にうっすらと積もり、そのうちに雑草が生えてくることがある。
現地の状況を見ると、電線の保護管を束ねている場所で、とくに雑草が生えやすいように見える(図7)。
こうした雑草は2年に1回ずつなど、目立ってきた頃に除草している。
太陽光パネルや接続箱、電線などの発電設備の点検は年に一度、実施している。また、ほとんどの池で水質の調査を定期的に実施している。最も多いのは、河原山池で年8回実施している。どの池でも、水質の異常が見つかったことはないという。