探訪

費用対効果の高い除雪、メーカー撤退後のパネル交換に備え、栗原市のメガソーラー

鉱山・堆積場跡地に立地する特別高圧サイトの7年半

2022/06/23 05:36
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 宮城県栗原市の丘陵地に、連系出力が6.930MW、太陽光パネルの出力が約8.786MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「入釜太陽光発電所」(図1)がある。

図1●入釜太陽光発電所
図1●入釜太陽光発電所
(出所:エルエムサンパワー)
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 2015年1月に売電を開始してから、約7年半が経過している。

 鉛や亜鉛などを産出した「細倉鉱山」近くに立地し、土地は細倉金属鉱業が所有している。同社の親会社である三菱マテリアルが主導してメガソーラーを開発した。

 発電事業者は、特定目的会社(SPC)のエルエムサンパワー(東京都千代田区)となる。

 このSPCは、三菱マテリアルと三菱HCキャピタル(SPCの設立当時は旧・三菱UFJリース)が折半出資で設立した。三菱マテリアルグループが国内に所有する土地を活用し、再生可能エネルギー発電電力の固定価格買取制度(FIT)に基づいて売電するメガソーラーを開発・運営している。

 三菱マテリアルグループが主に土地の確保や技術などを、旧・三菱UFJリースが資金や事務・契約手続きを担って開発・運営しており、「入釜太陽光発電所」を含めて、5カ所で連系出力が合計約19.4MW、太陽光パネル出力が合計約27.4MWを稼働させた(図2)。入釜太陽光発電所が唯一、特別高圧送電線に連系している。

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図2●三菱マテリアルグループの未利用地など5カ所で開発・運営
図2●三菱マテリアルグループの未利用地など5カ所で開発・運営
(出所:エルエムサンパワー)
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 エルエムサンパワーがメガソーラーを開発したのは、三菱マテリアルグループが所有する未利用地の中で、できるだけ造成せずに太陽光発電システムを設置でき、手続きが比較的少なく、日射量が多いといった条件にあう場所だった。

 入釜太陽光発電所を含む4カ所を同時に開発し、売電単価は40円/kWh(税抜き)となっている。入釜以外は、福岡県苅田町にある九州工場の近隣地(連系出力1.99MW、パネル出力約2.580MW)、茨城県桜川市にある工業団地内(同1.99MW、約2.476MW)、福井市にある子会社の三菱電線工業の福井製作所内(同1.99MW、約2.580MW)で、いずれも高圧配電線に連系している(以前のメガソーラー探訪)。

 5カ所目は、福島県矢吹町にある子会社の三菱マテリアル不動産が運営している矢吹テクノパーク内のメガソーラーで、4区画の未入居地を活用して、連系出力1.33MW~1.995MW、パネル出力約1.637MW~2.592MWという4つのメガソーラーを開発した(関連ニュース)。この案件のみ売電単価が36円/kWh(税抜き)となっている。

 5カ所のメガソーラーとも、EPC(設計・調達・施工)サービスは、千代田化工建設が担当した。O&M(運用・保守)も千代田化工グループが担っている。千代田化工の提案に従って、太陽光パネルはソーラーフロンティア製のCIS化合物半導体系の薄膜タイプ、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 いずれも連系出力に対して太陽光パネルの出力が約1.3倍の過積載として、設備利用率を上げて発電量を稼いでいる。

 三菱マテリアルにとって再エネ発電の取り組みは古く、水力発電は戦前から、地熱発電も1974年から発電所を稼働している(図3)。地熱発電については特に、国内トップレベルの技術と実績を持つと強調している。

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図3●水力・地熱・バイオガス発電所
図3●水力・地熱・バイオガス発電所
(出所:三菱マテリアル)
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 水力発電では、秋田県で集中的に開発し、稼働中の6カ所のほか、出力10.3MWの「小又川新発電所」を新たに開発して稼働が目前に迫っている。

 地熱発電でも、秋田県など東北を中心に継続的に開発している。電源開発、三菱ガス化学との合弁会社による2カ所の発電所が稼働済みなほか、新たに岩手県八幡平市で発電所を建設している(関連ニュース)。また、ほかの企業との枠組みで、北海道でも事業化を目指した調査に参画している(関連ニュース)。

 バイオガス発電にも積極的で(関連ニュース)、日本生活協同組合連合会のグループに特定卸供給もはじめている(関連ニュース)。

 三菱マテリアルはこのほか、最近ではグループの拠点を活用して第三者所有によるオンサイト型PPA(電力購入契約)モデルの自家消費型太陽光発電所を稼働させている(関連ニュース)。

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