探訪

稼働6年半の「木製架台」の現状は? 播磨科学公園都市のメガソーラー

予防保全が奏功、担当者の「視野の拡大」にも寄与

2022/07/21 01:12
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 播磨科学公園都市は、兵庫県西部・播磨地方の丘陵地にある。世界トップクラスの大型放射光施設「SPring-8」などの先端的な研究施設のほか、研究開発機関や企業の事業所などからなる。住宅などの生活インフラも備えている。

 この播磨科学公園都市には、3カ所の太陽光発電所がある(図1)。パワーコンディショナー(PCS)出力が4.06MW、太陽光パネル出力が約5MWの「播磨科学公園都市第1発電所」、PCS出力が1.99MW、パネル出力が約2MWの「第2発電所」、PCS出力が500kW、パネル出力が610kWの「第3発電所」である。いずれも兵庫県企業庁が開発・運営している。

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図1●播磨科学公園都市で開発・運営している太陽光発電所
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図1●播磨科学公園都市で開発・運営している太陽光発電所
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図1●播磨科学公園都市で開発・運営している太陽光発電所
上から第1発電所、第2発電所、第3発電所(出所:兵庫県 企業庁)

 第1発電所と第2発電所の固定価格買取制度(FIT)に基づく売電単価は36円/kWh(税抜き)で、第3発電所は32円/kWh(同)となっている。

 兵庫県企業庁では、未利用の所有地のほか、ダムの堤体にもメガソーラー(大規模太陽光発電所)を開発しており、12カ所・合計出力約29.6MWの太陽光を運営している(図2関連コラム)。

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図2●12カ所・約30MWを開発・運営
図2●12カ所・約30MWを開発・運営
(出所:兵庫県 企業庁)
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 いずれも公募型プロポーザル方式によって、EPC(設計・調達・施工)サービスなどを担う企業を決めた。このため、EPCサービス事業者や導入した発電設備などは、それぞれ異なっている。

 第1発電所のEPCはNTTファシリティーズが担当し、太陽光パネルはフジプレアム製、PCSは日立製作所製と山洋電気製を採用した。

 第2発電所のEPCは早水電機工業(神戸市長田区)で、太陽光パネルはソーラーフロンティア(東京都港区)製、第3発電所のEPCは西部電気建設(神戸市灘区)で、太陽光パネルはノーリツ(神戸市中央区)となる。PCSはいずれも東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 これらのメガソーラーを開発・運営しているのは、企業庁の中でも水道事業の関連部署となっている。

 開発に着手してから約10年、稼働してからも8年以上が経ち、売電収入以外にも思わぬ効果が出てきている。

 その1つは、担当する職員の視野が広がっていることである。元々、水道事業の経験や知見は豊富にある。しかし、太陽光発電の開発・運営は初めてだった。技術などはまったく異なる。

 太陽光発電設備に身近に接するうちに、とくに若手の職員を中心に、技術を研鑽する場として太陽光設備を活用する風潮が出てきた。水道に加えて、太陽光に取り組むことで視野が広がり、幅広い目線で職務に従事する良い相乗効果が生まれているという。

 例えば、太陽光パネルの汚れや影など、計画時には目を向けていなかった現象に気付き、その影響度などを独自に報告してくるようになっている。

 運営面で変えたこともある。

 水道事業にも電気設備があり、当初は第3種の電気主任技術者の資格を持つ職員がメガソーラーの電気保安管理業務を担ってきた。しかし、12カ所に広がり、場所によっては法定で定められた「2時間以内の駆け付け」に対する余裕が少ない場所も出てきた。そこで、電気主任技術者が担う電気保安管理業務は外注に切り替えた。

 このきっかけの1つが、播磨科学公園都市のメガソーラーだった。山あいの丘陵にあるために、近隣に落が雷ち、その誘導雷によってPCSの安全機能が働いて、稼働を止めることが年に数回、生じている。

 回数は限られるものの、突発的に現地に向かうことになる。水道事業でなんらかの業務が重なっている場合には、対応に苦慮することになる。

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