探訪

兵庫・権現ダムの「堤体メガソーラー」、20度以上の急斜面での試行錯誤

ダムマニアに注目も、カラスの石落としに苦慮

2022/08/03 16:46
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 兵庫県加古川市に、連系出力が1.5MW、太陽光パネルの出力が約1.76MWの「権現ダム太陽光発電所」がある。

 名称の通り権現ダムに立地し、太陽光パネルはダムの堤体に固定されている(図1)。

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図1●権現ダム。加古川から汲み上げた水を工業用水として供給している
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図1●権現ダム。加古川から汲み上げた水を工業用水として供給している
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図1●権現ダム。加古川から汲み上げた水を工業用水として供給している
(出所:日経BP)

 これによって、水を貯めて安定的に供給するというダム本来の役割を果たしつつ、発電という新たな機能が加わっている。

 こうしたダムの堤体に太陽光パネルを固定した発電所は、国内はもとより、世界でも珍しい案件となっている(関連コラム)。

 同じようにダムの堤体を活用したメガソーラー(大規模太陽光発電所)が兵庫県内にはあと2カ所ある。加古川市にある連系出力、太陽光パネル出力ともに1.61MWの「平荘ダム太陽光発電所」(関連コラム)、姫路市にある連系出力4.41MW、太陽光パネルの出力約4.993MWの「神谷ダム太陽光発電所」(関連コラム)である(図2)。

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図2●平荘ダム(上)、神谷ダム(下)の太陽光発電所
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図2●平荘ダム(上)、神谷ダム(下)の太陽光発電所
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図2●平荘ダム(上)、神谷ダム(下)の太陽光発電所
(出所:日経BP、右下は兵庫県企業庁)

 いずれも兵庫県企業庁が開発・運営しており、神谷ダムのメガソーラーのみ特別高圧送電線に連系している。

 3つのダムの堤体に共通しているのは、ほぼ真南を向いていることである。しかも、地面に対して20度程度傾いていて、日本の緯度上、太陽光パネルの傾斜角で理想的な約30度に近い。そして、日射量が国内有数である瀬戸内海寄りに位置する。このように太陽光発電に向く条件が揃っている。

 権現ダムのメガソーラーは2014年11月に売電を開始し、約7年9カ月が経った。平荘ダムと神谷ダムのメガソーラーは2016年2月にそれぞれ売電を開始し、約6年半が経過している。

 いずれも固定価格買取制度(FIT)に基づく売電単価は36円/kWh(税抜き)となっている。

 いずれも公募型プロポーザル方式によって、EPC(設計・調達・施工)サービスなどを担う企業を決めた。

 権現ダムのメガソーラーのEPCは日本コムシスが担当した。太陽光パネルはパナソニック製の多結晶シリコン型、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 平荘ダムと神谷ダムのメガソーラーのEPCは三和電気土木工事(大阪市)とノバック(姫路市)が担当し、太陽光パネルはシャープ製の単結晶シリコン型、PCSはTMEIC製を採用した。

 兵庫県企業庁が開発・運営している12カ所・合計出力約29.6MWの太陽光発電所のうち、この3つのダムの堤体を使ったメガソーラーに加えて、神谷ダム建設時の土取場を活用した太陽光発電所もあり、合わせて4カ所がダム関連を活用した案件となっている(図3、関連コラム:稼働6年半の「木製架台」の現状は? 播磨科学公園都市のメガソーラー)。

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図3●12カ所・約30MWを開発・運営
図3●12カ所・約30MWを開発・運営
(出所:兵庫県企業庁)
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