今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
今回、紹介するのは、メガソーラー(大規模太陽光発電所)という、スケールの大きな設備が、「アリ」によって発電停止に至ったという、「大が小に屈する」逸話のような例である(図1)。
関東地方にある出力1MWのメガソーラーにおいて、遠隔監視システムを通じて電気主任技術者に対して、パワーコンディショナー(PCS)が発電を停止したという警報が届いた。
このメガソーラーの連系出力は1MWで、定格出力1MW機のPCSで制御している。このため、この1台にトラブルが生じると、すべての売電が止まる。
警報を受けて、電気主任技術者はメガソーラーに駆けつけた。PCSの表示画面を確認したところ、太陽光パネルの発電電力がPCSに入力されるまでの直流回路が地絡(絶縁不良によって電流が大地に流れてしまう状態)していることが示されていた。
しかし、このメガソーラーには、直流回路の不具合を突き止めるノウハウがなかった。電気主任技術者が担う担当業務は、PCSで直流から交流に変換されて以降の電気設備に関する保安管理業務が中心だからである。こうした太陽光発電所は多いと思われる。
そこで、自力ではできない直流回路の不具合の検査を、エネテクに依頼した。調査を受託したエネテクは、現地の状況を調べた。電気的には、まず直流の約230回路の絶縁抵抗を測った。接続箱の入力端子を通じて測定する。この絶縁抵抗測定によって、2つの直流回路に地絡が生じていることを特定した(動画)。
動画●地絡している直流回路を発見(出所:エネテク)