トラブル

「雨が降ると漏電する」太陽光パネル、豪雨時の測定で異常値(page 2)

エネテク 第29回

2019/07/31 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 すると、水に濡れた状態で計測すると、絶縁抵抗値が極端に低くなる太陽光パネルがあることがわかった。通常ならば50~100MΩといった絶縁抵抗値を示すはずが、濡れた状態で計測すると、1MΩ程度に数値が下がっていた。

 エネテクでは、この絶縁抵抗値の極端な差が、雨天時にPCSが稼働を停止する原因になっているのではないかと推測した。

 しかも、噴霧器で濡らした状態は、小雨に相当する雨量にとどまる。もし大雨の状況を再現して、その状態の太陽光パネルの絶縁抵抗値を計測すれば、おそらく1MΩ以下の数値に下がるパネルが出てくることが予想できた。

 この状況を、太陽光パネルメーカーに確認すると、「雨天時に、パネルの絶縁抵抗値が下がるのは当然の現象」、「その際の絶縁抵抗値は、1MΩ以上あれば製品として問題ではなく、異常ではない」という回答だった。

 ここまでの状況を、第26回「太陽光パネルの絶縁不良か? 増えてきた「雨天時の原因不明の地絡」」で紹介した。

 その後、エネテクでは、この発電所において、雨が降ってPCSが停止してしまう時には、絶縁抵抗値が1MΩ以下に下がっている太陽光パネルがあることを、豪雨時に実際に点検して突き止めた(図2)。

図2●接続箱を通じて直流回路ごとの絶縁抵抗値をまず計測
(出所:エネテク)
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 2019年春のある雨天日の夜、この発電所から、これまでと同じように、また地絡によるPCSの停止が通報された。この日は、土砂降りの雨だった。

 天気予報で、この発電所の現地では、翌朝以降も前日と同じような土砂降りになることが予想できた。

 そこで、同社では、点検従事者の安全上のリスクを最小に抑える備えを講じつつ、土砂降りの中で、地絡している回路を構成している太陽光パネルについて、1枚ずつ絶縁抵抗値を計測することにした。

 翌朝、発電所に駆け付けると、予想通り、土砂降りの状況が続いていた。そして、PCSの稼働状況を確かめるために、まずPCSからの送電先となる集電箱の状況を調べてみると、集電箱に送電している5台のPCSのうち、3台の入力端子に接続されているブレーカーが、遮断(トリップ)していた。

 トリップしていたブレーカーはいずれも、地絡を示す表示ボタンが起動していた。このため、これまでと同じように、この3台のPCSに入力している直流回路において、雨が降ったことで漏電している太陽光パネルがあると考えられた。

 停止している3台のPCSには、接続箱を通じて太陽光発電電力が送電されている。そこで、該当するPCSに送電している接続箱の入力端子を通じて、ストリング(太陽光パネルを接続した回路)ごとに、絶縁抵抗値を計測した。これによって、絶縁抵抗値が極端に低いストリングを5本、特定した(動画1)。

動画1●地絡している直流回路を発見
(出所:エネテク)

 この3台に入力しているストリングのうち、それぞれ2回路、2回路、1回路で絶縁抵抗値が極端に低く、漏電していることを示していた。

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