モモンガやハクビシンが巣をつくる! 屋根上太陽光の思わぬ断線

エネテク 第30回

2019/08/22 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、鳥や小動物が、太陽光パネルの下を使って巣を作ることに関連する不具合事例である。住宅の屋根上で生じ、モモンガやハクビシンが原因となったとみられる(図1)。

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図1●モモンガは夜に活発に行動する
今回、紹介した住宅付近とは異なる場所で撮影(出所:日経BP)
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 住宅の太陽光発電システムの発電量が従来よりも大幅に下がり、エネテクが調査を担当した。この住宅に向かい、状況を調べた。

 すると、太陽光パネルや接続箱、パワーコンディショナー(PCS)などには、問題がないことがわかった。そこで、電線やコネクタを介した接続に問題がないかどうか、調べてみた。

 住宅の屋根上の場合、電線やコネクタは、太陽光パネルと屋根が近接していることから、目視で確認することが難しい。これは、工場や倉庫の屋根上でも、ほぼ同じ課題となっている。

 エネテクの点検担当者が、こうした屋根の上に設置された太陽光パネルの下に隠れて見えなくなっている状態の電線を調べてみると、電線が断線したり、断線しかかっている場所がいくつか見つかった(図2)。電線とその周辺には、何か小動物の歯形のような跡があった。

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図2●電線が齧られていた
(出所:エネテク)
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 この状況から、小動物などが太陽光パネルと屋根の間のわずかな隙間に入り込むことが日常的に続き、電線が噛まれて断線したことが、発電量の低下の原因と考えられた。

 この住宅は、里山の隣に建っている。夜になると、山からモモンガが飛んできている様子が目撃されていた。ハクビシンも目撃されていた。ハクビシンの場合、刃を研ぐために、頻繁にものをかじる習性がある。

 太陽光パネルの下の、屋根とのわずかな隙間には、枯葉が多く溜まっている場所があった(図3)。

図3●枯葉を使って作られていた巣
(出所:エネテク)
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 風で飛ばされた枯葉が、たまたま溜まっていたような状況ではなく、明らかに、運ばれてきて意図的に固めるように溜まっていた。

 モモンガやハクビシンが、巣を作りかけていたのではないかと推測している。モモンガやハクビシンは、高いところに木の皮や枯葉などを使って巣を作ることが知られている。

 太陽光パネルと屋根の間のわずかな隙間は、巣穴として適していたようだ。

 エネテクが点検を担当した別の屋根では、ハトが巣を作っていたこともあった。この屋根の巣では、卵を見つけた(図4)。

図4●別の屋根では、ハトが巣を作って産卵していた例も
(出所:エネテク)
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 ハトの場合は、電線を突いて断線させる可能性は高くないかもしれない。

 しかし、今回の住宅のようにモモンガやハクビシンの場合、かじられて断線した電線には、日中は太陽光パネルからの発電電力が流れ続けている。この状態では、火花(アーク)が生じるといった恐れもある。

 かじられた電線の近くには、巣を構成している枯葉が溜まっている。枯葉は、燃えやすい。なんらかの原因で、枯葉に引火してしまうと、火災の原因にもなりかねず、危険な状態といえる。

 鳥や小動物の侵入を防ぐ方法として一般的なのは、周囲にネットを張ることである。しかし、住宅の場合、ネットを張るにも経済的、物理的に制約が大きい。倉庫や工場の場合でも、経済的、物理的に制約が大きいのは同じで、頭を悩ませている太陽光発電事業者も多い。

 有効な手法の登場が待たれている。

【エネテクによるトラブル・シューティング】