ネズミが配管のパテを食い破り、接続箱に頻繁に“出入り”

エネテク 第32回

2019/09/19 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、ネズミがたびたび接続箱の中に入り込み、生息範囲となっていた発電所の例である。

 他社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担った太陽光発電所で、売電開始後の定期点検をエネテクが受託した。年に2回、点検するという内容で、まず発電設備を精密に点検し、その後、別の日に改めて発電所内を巡回する。

 定期点検を受託してから、エネテクの担当者が、はじめてこの太陽光発電所に向かい、現地で発電設備を点検すると、異常が生じている接続箱を見つけた。

 接続箱の中が、小動物に食い荒らされたような跡があった(図1)。接続箱の電線の出入口となる穴をふさいでいる樹脂製のパテに、大きな穴が開いていた。40台ある接続箱のうち、2台が同じような状態だった。

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図1●ネズミが活動拠点にしていたとみられる接続箱
(出所:エネテク)

 この2台の接続箱への太陽光発電電力の送電や、接続箱からパワーコンディショナー(PCS)への送電には、異常が見られなかった。発電量の低下などは、生じていなかった。

 ただし、この2台の接続箱内の電線には、小動物にかじられて損傷している箇所があった。樹脂の被覆が食い破られ、銅線が露出していた(図2)。

図2●齧られて銅線が露出したP極とN極の電線
(出所:エネテク)
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 それも、それぞれP極とN極に入力する電線が隣り合い、銅線がむき出しになっていた。何らかの影響で、この両極に入力する電線の銅線が接触した場合、短絡する可能性が高い。

 その状態で、太陽光発電電力の送電が続けば、発火して火事に至る恐れさえある。とても危険な状態だった。

 エネテクによると、2台の接続箱の中に入り込み、電線をかじって銅線をむき出しにしたのは、ネズミの仕業ではないかと推測している(図3)。

図3●今回とは異なる太陽光発電所において、ネズミが接続箱内の端子間に入ってPN両極に触れて短絡して死んでいた例
(出所:エネテク)
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 実際に現場でネズミを見たわけではないが、尿の臭いが残っており、接続箱の中が通常の太陽光発電所よりも、ほのかに暖かいなどの状況から、頻繁に筐体の中に“出入り”し、生息域にしている様子もうかがえるという。

 ネズミの侵入口は、電線の出入口の穴をふさいでいる樹脂製のパテに開いた穴とみられる。この穴は、ネズミがパテを食い破ったことで開いたようだ。

 小動物や昆虫が、パテを食べてしまう例は、他の太陽光発電所でも報告されている。この発電所でも、同じように食い破られて穴が開いたようだ。

 しかし、この発電所の場合、接続箱の外側に、パテは露出していない。電線の出入口の穴は、筒状の樹脂製配管でしっかりと覆われている。

 このため、ネズミは、この配管の中に、どこかから入り込んで、配管内を走って接続箱の電線の出入口に辿り着き、ここで配管の中からパテを食い破ったとみられる。

 そうなると、ネズミはどこから樹脂製配管の中に入り込んだのだろうか。エネテクの点検担当者は、発電所の敷地内で配管が敷設されている場所を、くまなく調べてみた。

 すると、接続箱からPCSに送電する経路に使われているラックの端部に、隙間が空いていることを見つけた(図4)。この隙間から、ネズミが入り込んだようだ。

図4●ラックの端部で空いていた隙間
(出所:エネテク)
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【エネテクによるトラブル・シューティング】