太陽光パネルの焦げ、原因は「影と製造不良」

エネテク 第33回

2019/10/03 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、企業の事業所の屋根上に並んだ太陽光パネルに、焦げているものが見つかった例である。2カ所の例を織り交ぜて紹介する。

 他社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担った太陽光発電所で、売電開始後の定期点検をエネテクが受託した。年に2回、点検するという内容で、まず発電設備を精密に点検し、その後、別の日に改めて発電所内を巡回する。

 2カ所のうち1カ所は、定期点検を受託してから、点検の事前準備のためにエネテクの担当者が現地に向かい、発電設備を視察しているときに見つけた。もう1カ所は、点検時に見つけた。

 いずれも、太陽光パネルの表面と裏面に焦げている部分があった(図1)。また、現時点では発電に大きく影響しておらず、I-V特性の測定などでは、異常がわからないことから、目で見て初めて異常に気づく点でも共通していた。

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図1●焦げていた2カ所の屋根上の太陽光パネル
(出所:エネテク)

 2カ所とも、屋根上において、影のかかる場所に設置されている太陽光パネルだった。

 1つは、屋外側の壁面に取り付けられた階段の近くにあり、この階段の屋根上に抜けた場所の影がかかっている。もう1つは、壁面から屋根上にかけて取り付けられた看板によって、太陽光パネルに影がかかっている。

 どちらの屋根上でも、焦げていた太陽光パネルには、いつでも同じように影がかかっていたわけではない。日射の状況などによって、影がかかるときもあれば、かかっていない時もある。

 また、日射条件が良く、影がかかりやすい日でも、上空における太陽との位置関係は時間によって変わる。このため、太陽光パネル内で影がかかっている場所も、刻々と変わってくる。

 焦げが見つかった太陽光パネルにおいて、過熱して焦げているのは、いずれもセル(発電素子)の単位だった(図2)。焦げているのは、セルの範囲に限られていた。焦げたセルでは、表面の至るところに焦げや剥離が生じている。その裏面も焦げている。

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図2●セルの単位で過熱
(出所:エネテク)
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 エネテクによると、いずれも単に影による影響だけでなく、太陽光パネルの製造時の不良に、影による部分的な発電量の低下による悪影響が重なって、セル内で過熱が生じ、焦げにつながったと予測している。

 このうち、看板の影の影響を受ける場所にあって焦げていた太陽光パネルは、ハーフカットセル品だった。階段の影を受ける場所にあって焦げていた太陽光パネルは、現在は国内から拠点を撤収している中国メーカー製だった。

 この中国メーカー製の太陽光パネルは、不具合が生じてメーカー保証による交換を要求する場合、本国の本社と交渉しなければならない体制に変わっている。この状況で、なかなか交換に応じてもらえない状況にあるという。

 エネテクでは、こうした太陽光パネルの初期不良が、影によるパネル内の発電量の変化によって表面化することは、国内の多くの太陽光発電所において、今後、直面する可能性が高いのではないかと見ている。



【エネテクによるトラブル・シューティング】