このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
今回は、太陽光パネルを接続した単位であるストリング全体が発電を停止していた例を紹介する。ストリング全体の発電停止は、施工の不良や何らかの損傷による現象として、よく見られるトラブルだが、今回紹介する例は、その原因が珍しいものだった。小動物が電線をかじったことに起因すると思われ、ほかではあまり見られない。
他社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担った太陽光発電所で、稼働開始後の定期点検をエネテクが受託した。この発電所では、半年に1回、太陽光パネルからパワーコンディショナー(PCS)までの直流回路の点検があり、その際に発見した。
この点検では、ドローン(無人小型飛行体)を活用した。ドローンを飛ばして赤外線カメラで空撮し、太陽光パネルの熱分布の画像を得る。熱分布から異常を生じているパネルを特定した後、詳細に原因を調べて、適切な対策を提案する。
ドローンで空撮した熱分布の画像から、1本のストリング全体が発電していないことがわかった。ストリングを構成している32枚の太陽光パネル全部が、表面全体が光っているような熱分布を示していた(図1)。
この太陽光発電所は、化合物型の太陽光パネルを採用しており、ストリングはパネル8枚の直列×4並列で構成されている。