小動物がかじって発火、ストリング全体が発電停止

エネテク 第34回

2019/10/17 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、太陽光パネルを接続した単位であるストリング全体が発電を停止していた例を紹介する。ストリング全体の発電停止は、施工の不良や何らかの損傷による現象として、よく見られるトラブルだが、今回紹介する例は、その原因が珍しいものだった。小動物が電線をかじったことに起因すると思われ、ほかではあまり見られない。

 他社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担った太陽光発電所で、稼働開始後の定期点検をエネテクが受託した。この発電所では、半年に1回、太陽光パネルからパワーコンディショナー(PCS)までの直流回路の点検があり、その際に発見した。

 この点検では、ドローン(無人小型飛行体)を活用した。ドローンを飛ばして赤外線カメラで空撮し、太陽光パネルの熱分布の画像を得る。熱分布から異常を生じているパネルを特定した後、詳細に原因を調べて、適切な対策を提案する。

 ドローンで空撮した熱分布の画像から、1本のストリング全体が発電していないことがわかった。ストリングを構成している32枚の太陽光パネル全部が、表面全体が光っているような熱分布を示していた(図1)。

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図1●ストリング全体が光っているような熱分布
(出所:エネテク)
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 この太陽光発電所は、化合物型の太陽光パネルを採用しており、ストリングはパネル8枚の直列×4並列で構成されている。

 熱分布画像で、太陽光パネル全体が光るように写っていた理由は、パネルそのものは日射を受けて発電していながら、接続箱の入力部でヒューズが切れており、送電されていない状態だったからである。こうした場合、ストリングを構成するパネル全体が発熱する。

 エネテクの点検担当者は、ヒューズが切れた原因を突き止めるため、ストリングの状態を調べた。すると、このストリング内の電線が、ドロドロに溶けていて、架台や基礎には焦げた跡がついていた(図2)。何らかの原因で、この電線の溶けた部分のどこかで発火して、電線を覆っている樹脂の被覆を溶かし、溶けた被覆が架台や基礎にたれて焦げたようだ。

図2●基礎や架台が焦げていた
(出所:エネテク)
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 同社によると、ストリング内の直流の送電電圧は800V以上ある構成で、とても危ない状態だった。しかも、発電所内には、枯れ草が多く残っていた。ストリング内の発火の度合いによっては、枯れ草に燃え移って火災を引き起こしかねない状態だった。

 ドロドロに溶けているために、どこが起点になり、何が原因だったが、確実なところは突き止められなかったが、小動物にかじられたことが原因だったのではないかと推測できた。

 このケーブルを収めたラックには、小動物の足跡が多く残っていたためで、しかも、ラックの下半分は空洞になっていた(図3)。小動物はここから侵入できる。

図3●ラック上についていた小動物の足跡
(出所:エネテク)
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 ドロドロに溶けるまでには至っていないものの、小動物にかじられて、被覆がなくなっている箇所や、銅線が剥き出しになっている場所もあった(図4)。ここでも、被覆が溶けたり、炭化したりしている電線があった。

図4●かじられていた電線、被覆が焦げて落ちている様子も
(出所:エネテク)
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【エネテクによるトラブル・シューティング】