【千葉の太陽光被災・その2】まるで「やり投げ」、飛んできた屋根材が太陽光パネルを突き破る

エネテク 第37回

2019/11/28 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 2019年秋は、千葉県を中心とする関東各地において、強風や豪雨を伴う台風の通過や上陸が相次いだ。強風による倒木や電力・通信設備などの社会インフラの損壊や、豪雨による土砂崩れ、河川の増水や越水、周辺地域の浸水などによる被害が、広い範囲で生じた。

 9月9日に千葉県に上陸、通過した台風15号は、関東に上陸した台風としては、過去最強クラスの勢力だった。千葉県の中央部以南では、強風に伴う倒壊や倒木によって、建物の損壊、鉄塔や電柱、電線をはじめとする電力設備の損傷による停電や断水、道路や鉄道の不通など、大きな被害が生じた。

 この地域の太陽光発電所でも、倒木などで被災した発電所が少なくない。最も広く知られているのが、市原市にある山倉ダムの水上を活用したメガソーラー(大規模太陽光発電所)である。フロート架台の損壊やそれに伴う火災が起き、一般メディアでも大きく報じられた(関連コラム1: 直後の速報、同コラム2:メカニズムの考察、同コラム2:経産省に報告、破損の起点は「アンカーの抜け」)。

 また、静岡県の伊豆半島でも、同じように強風によって、地上設置型の太陽光発電所で太陽光パネルが吹き飛んだり、架台が損壊するといった被害が相次いだ(関連コラム)。

 長野市の千曲川流域では、河川の氾濫によって、周辺地域の太陽光発電所が浸水したり、泥水の重みで倒壊するといった被害が相次いだ(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、エネテクが点検を受託している、千葉県西部の太陽光発電所における被災例となる。

 敷地外から飛んできた木材が、太陽光パネルに突き刺さった(図1)。太陽光パネルの上から刺さり、裏まで貫通して突き破っている。

図1●太陽光パネルが突き破られている様子は、まさに「やり投げ」のよう
(出所:エネテク)
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 まるで、陸上競技の「やり投げ」のように、空中を木材が勢いよく飛んできたようだ。やり投げであれば、落下した際に地面に突き刺さるところを、ここでは太陽光パネルに突き刺さったとみられる。

 このような敷地外から勢いよく飛んでくる飛散物による被害は、発電事業者にとっては、まさに不慮の事故といえる。設計や運用上の工夫で防ぐことは、難しいだろう。

 近隣の地域では、強風によって、倒木だけでなく、古い建物の屋根やビニールハウスなどが多く吹き飛んだことで知られている。

 この太陽光発電所で、太陽光パネルに突き刺さったのも、強風で吹き飛んだ、何らかの建物の屋根を構成していた材料の一つと見られる。いかにも屋根材という、角材だった(図2)。

図2●屋根を構成している角材のようだ
(出所:エネテク)
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 太陽光パネルを突き破るような勢いで飛んできた状況を想像すると、この角材が飛んで行った先が、街中ではなかったことは、不幸中の幸いだったといえる。

 飛んでいって落下した先が、太陽光発電所ではなく街中だったなら、太陽光パネルを突き刺した勢いで、住宅の窓に突き刺さる、人が負傷するといった事故につながった恐れが想定されるためである。

【エネテクによるトラブル・シューティング】