このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
2019年秋は、千葉県を中心とする関東各地において、強風や豪雨を伴う台風の通過や上陸が相次いだ。強風による倒木や電力・通信設備などの社会インフラの損壊、豪雨による土砂崩れ、河川の増水や越水、周辺地域の浸水など、広い範囲で被災した。
千葉県市原市にある山倉ダムの水上を活用したメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、フロート架台の損壊やそれに伴う火災が起き、一般メディアでも大きく報じられた(関連コラム1:直後の速報、同コラム2:メカニズムの考察、同コラム3:経産省に報告、破損の起点は「アンカーの抜け」)。
静岡県の伊豆半島でも、同じように強風によって、地上設置型の太陽光発電所で太陽光パネルが吹き飛んだり、架台が損壊するといった被害が、長野市の千曲川流域では、河川の氾濫によって、周辺地域の太陽光発電所が浸水したり、濁流によって倒壊するといった被害が相次いだ(関連コラム:伊豆半島関連、同コラム:千曲川関連)。
今回、紹介するのは、エネテクが点検を受託している、千葉県中部の太陽光発電所における例となる。
一つは、パワーコンディショナー(PCS)の付帯設備として、直射日光がPCSに当たることを遮るための屋根材が、めくれあがったり外れて吹き飛んだりした被害である(図1)。