しかし、どの点検事業者でも、通常は雨天時に太陽光発電設備を点検することを避ける。晴天時に比べて作業がしにくく、作業時の負担が大きくなること以上に、雨に濡れた状態の電気設備に触れることは、点検従事者が感電する危険性が高くなるためである。
それでも、雨天時に漏電の警報が届くことが多い以上、何らかの不具合が生じている場所が必ずあると予想した。そこで、次に、発電設備をくまなく目視で点検した。
すると、1台の接続箱の入力端子の近くで、電線を覆う樹脂の被覆に傷がついていることを見つけた(図1~2)。束にまとめられている電線のうちの1本に、小動物が噛んでできたような傷がついていた。
念入りに見ていなければ見つけられないような、小さな噛み跡だった。接続箱の周辺の状況から、かじったのはネズミとみられるという。
この噛み跡の傷の部分が、雨天時に漏電する原因になっているのではないかと考えた。そこで、検電器を使って点検すると、検電器は、その場所が通電していることを示すランプを点灯させた(図3)。
通常、樹脂の被覆の上から電線に検電器を当てても、絶縁されているので通電を示すランプは点灯しない。
しかし、小動物の噛み跡でできたような傷の部分では、検電器が通電していることを示した。この場所で、漏電していることが濃厚になってきた。