このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
今回は、今年の干支である「ネズミ」によって、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の売電が止まりかねない状況になった例を紹介する。
エネテクが点検を請け負っているメガソーラーの中に、雨天になると、度々漏電の警報が通知される発電所があった。北関東に立地している。
何らかの不具合が起きている、あるいは、不具合が生じる前兆が起きている可能性があるため、原因を把握することにした。
同社では、同じように雨天時のみ、地絡の警報を発する太陽光発電所において、「雨天時にのみ漏電する太陽光パネルの不具合」を突き止めた例もある(関連コラム:豪雨時に現地に乗り込んで確かめた例)。
それまで、こうしたタイプの不具合は、ほとんど知られていなかった。今回も、同社の20歳代の若手の点検担当者が原因の究明に取り組み、詳しく調査した。
同社の点検で、通常では見逃されがちな不具合や、あまり知られていない不具合の原因を突き止めることがあるのは、こうした点検担当者の熱意によるところが多いという。
今回はまず、晴天時に、直流回路の絶縁抵抗を測定した。この測定では、絶縁抵抗の値が異常を示し、絶縁不良が疑われるような回路は、検出されなかった。
この太陽光発電所では、雨天時に漏電の警報が通知される。この原因究明のための調査なので、本来は、雨天時に点検を実施する方が、起きている現象を突き止めやすい。