太陽光の盲点、「アースの不良」、地面から外れて錆びている例も

エネテク 第42回

2020/02/12 10:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、接地(アース)の不具合の例を紹介する。

 接地は、いうまでもなく、電気機器・設備が万が一、漏電した場合に、電気を大地に逃し、感電や火災のリスクを減らす目的の対策を指す。太陽光発電設備では、多くの場合、アース線やアース棒を使って接地されている。

 隣り合う太陽光パネル同士をアース線で結ぶところから始まり、架台を通して地中に接地したり、接続箱や集電箱、パワーコンディショナー(PCS)などの筐体に収められた機器も、それぞれに適した形で接地している。

 電気設備の設置工事において、接地は基本的な項目となっている。ただし、太陽光発電設備では、接地に関する不具合が意外に多い。その背景には、比較的、新しい分野である以上に、認識が不足している施工業者が多いこと、屋外で設備が野ざらしにされていること、作業の回数が多くなることなどの設備上の特性もありそうだ。

 特に架台と地中の接地の不具合が目立っている。今回、紹介するのも、その代表的な例の一つである。

 北関東に立地する複数区画が隣接している太陽光発電所の例で、いずれも低圧配電線に連系している。

 この発電所の点検を、エネテクが担当した。現地で担当者が点検作業にかかると、接地の抵抗値が「2000Ω」以上という、接地がまったく取れていないことを示す場所が多く検出された(図1)。

図1●接地がまったく取れていないことがわかる
(出所:エネテク)
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 接地の状況を調べると、接地抵抗値が正常の範囲内の場所も含めて、接地の状況に異常をきたしている場所が多く見つかった。

 これらの異常に起因し、点検時に作業者が感電の危険を抱く状況まで生じた。

 接地の状況の異常には、いくつかの種類があった。

 まず、本来は地面にしっかり打ち込まれているべきアースが、「地面に打ち込まれていない」、「圧着部分が地表に出ている」タイプである(図2)。

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図2●アース棒が地上に露出していたり、錆びていて適切に設置できていない
(出所:エネテク)

 アース棒が地面から露出して錆びていた。さらにひどい場合には、アース棒が地面に刺さることもなく、地面の上に転がっている場所もあった。アース棒を使わずに、アース線を地面に置いているだけ、という場所さえあった。

 アース線と棒の接続不良である、「ねじり接続」もあった。アース棒との接続が不適切で、抜け落ちやすくなっている(図3)。

図3●ねじり接続の例
(出所:エネテク)
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 圧着の不良もあった。架台を這わせて地面に向かうアース線は、地中に刺したアース棒と適切に接続されて、はじめて適切な接地を実現できる。このアース線とアース棒を適切に接地する作業が、圧着である。

 この「圧着」がずさんで、被覆をむいておらず、アース棒に圧着せずに手で巻いただけという状況だった結果、圧着部からアース線が抜け落ちていた。

 また、本来は接地で使うべきではない、ネジ系の端子用の圧着端子を使っていたためにアースの接続不良となっている場所もあった(図4)。

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図4●別の用途の端子を使っていたり、手で巻いているだけ
(出所:エネテク)
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 そもそも、アースの配線ルートが適切でない場所もあった。

 接続箱の筐体において、水抜き用に設けられている穴に、アースが通されていた(図5)。

図5●水抜き穴にアースを通している
(出所:エネテク)
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 こうした「アースの施工不良のデパート」のような状態で、適切な接地が実現できてない場所が多いのも当然という状態だった。

 エネテクでは、運営事業者に対して、接地に異常が見つかった場所について、施工し直すことを提案している。

 他の発電所でも、同じような例が少なくなく、同じような施工のし直しを提案してきている。

 しかし、現実には、提案を受け入れる発電事業者は少なく、9割以上はそのまま放置している印象という。残念ながら、意識の低い発電事業者が多いことを、改めて実感する例になっているとしている。


【エネテクによるトラブル・シューティング】