屋根上太陽光で断線、ストリングごと発電が停止、原因は不適切な施工

エネテク 第43回

2020/02/27 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、事業所の屋根に設置した太陽光パネルで起きたトラブル事例を紹介する。ストリング(太陽光パネル同士を接続した回路)からの電力を、接続箱に入力する際の電線の施工に問題があった例である。

 エネテクが点検を担当することになり、現地で接続箱を通じて検査すると、2本のストリング回路からの電力が入力されていなかった。

 まず、これら2本の回路の電線と太陽光パネルの状況を調べることにした。ここで、問題が生じた。太陽光発電所側が、回路の図面を持っていなかった。つまり、太陽光パネルがどのように接続され、接続箱に入力されているのかが、わからない状態だった。

図1●ドローンでストリングを構成しているパネルを特定
図1●ドローンでストリングを構成しているパネルを特定
(出所:エネテク)

 そこで、ドローン(無人小型飛行体)を使って、問題となったストリング回路を構成している太陽光パネルを特定した(図1)。

 発電電力が接続箱に送られていない回路を構成しているパネルは、ドローンを使えば一目でわかる。発電電力が流れずに発熱するため、該当するパネル全体が真っ赤な(白黒表示ならば真っ白な)色の温度分布を示すからである。

 ドローンを使わないと、ストリング回路を構成している太陽光パネルの特定は難しかったという。直列だけで接続されている結晶シリコン系ではなく、直列と並列で接続して回路を構成する化合物系の太陽光パネルが採用されていたためだった。この発電所では、4直列・4並列の16枚で1本のストリング回路が構成されていた。

 接続箱に送電されていない2本のストリングでは、回路内に断線している場所があった。いずれも、同じような場所だった。太陽光パネル同士を接続している部分ではなく、太陽光パネルと接続箱を結んでいる電線だった。パネルを直列と並列に接続し、最後に接続箱とつなぐストリング回路の端部となる。

 ここでは、太陽光パネル側は、通常はパネルに取り付けられたコネクターを使って接続される。一方の接続箱側は、施工会社が用意した接続方法が使われる。

 一般的には、太陽光パネル側と同じ規格品のコネクターを用意し、接続する。これならば、規格品同士の接続となり、接続は簡単で、正確に作業すれば問題はほぼ起きない。

 今回の発電所では、こうした規格品のコネクター同士の接続ではなかった。

 規格品のコネクターを備えた電線を使っていながら、それを使わずに、電線を切断し、その部分同士を接触させた状態で圧着させる方法で接続していた。この施工が不適切だったために、断線していた(図2)。

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図2●断線などが生じていた
図2●断線などが生じていた
(出所:エネテク)
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 4つの直列回路を並列に接続して、接続箱に送電する際、四つ又の集電ケーブルが使われていた。4つの直列回路と接続する場所には、それぞれ規格品のコネクターを備えている。

 このコネクターを使って、太陽光パネル側のコネクターと接続すれば、簡単で安定した接続が実現できるのに、なぜかコネクターを使わずに、接続する両方の電線を切り、その部分の芯線同士を接触させた状態で圧着する方法で接続していた。

 この圧着の施工品質が悪く、電線の被覆のめくれやひび割れ、芯線の露出が見られ、断線まで生じている状態だった。

 太陽光パネルと接続箱、あるいは、分散型などの小規模なパワーコンディショナー(PCS)の接続でも、今回と同じような接続不良や断線が起きている太陽光発電所を見かけることが多いという(関連コラム:結晶系パネルから小型PCSへの送電経路で起きた例)。

 同じように電線同士を切って接続した時の施工方法が不適切だったり、不適切なコネクターを使う、コネクター同士を力づくで押し込んで損傷させるなど、適切な手法を選択していなかったり、施工そのものが不適切なことに起因している。

 今回の太陽光発電所の場合、太陽光パネルは屋根上に設置されている。接続不良が起きている場所が、パネルの下に隠れていれば、まだ問題は少ないが、炎天下にさらされる場所にはみ出していると、電線の劣化や施工不良による悪影響は、さらに大きくなり、屋根材が焦げるような段階まで進みかねず、安全面からも危険な状態といえる。

【エネテクによるトラブル・シューティング】