火災事故で4カ月間停止に
今年2月7日、宮崎県串間市にある「大生(おおばえ)黒潮発電所」が約4カ月ぶりに再稼働を果たした。同発電所は、定格出力1.94MWの木質バイオマス発電施設で、昨年10月16日に、設備の一部が発火する事故が発生し、停止していた。
「大生黒潮発電所」は、木質ペレットを低酸素状態で蒸し焼き(熱分解ガス化)して水素など可燃性ガスを取り出し、そのガスで内燃機関であるガスエンジン発電機を稼働させる仕組み。2018年3月に稼働し、固定価格買取制度(FIT)により売電している(図1)。
再生可能エネルギー事業などを手掛けるシン・エナジー(神戸市)のほか、南那珂森林組合、大王テクノ、南国殖産の出資したSPC(特定目的会社)「くしま木質バイオマス」が事業主体となり、金融機関から融資を受けた。森林組合が地域の未利用材を供給し、シン・エナジーが発電設備の設計・施工から運営・管理を担うという体制となっている(図2)。
同発電所の特徴は、ペレット工場を併設していること。周辺地域から排出される未利用木材を粉砕しておが粉にし、乾燥工程を経てペレットに成形している。ペレット製造からガス化発電設備までのプロセスをパッケージ化したケースは国内で初めてで、ガスエンジンの稼働に伴う排熱をペレット製造に活用することで、システム全体の効率が上がる。これをうまく運用できれば、全国の林業の盛んな地域に応用できることから、注目されている。