トラブル

串間市のバイオマス発電所、「発火事故」乗り越え安定稼働に(page 3)

国内初、ペレット工場併設のガス化方式、「タール問題」も克服

2020/03/18 05:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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火源を特定できず

 シン・エナジーによると、事故後、消防署によって現場検証が行われたが、原因の特定には至らなかったという。40~60℃の温風を吹き付けられたおが粉の温度は、30~40℃になるが、木材の発火温度である約280℃に達するとは考えられない。そのため温風加熱による自然発火ではなく、何らかの火源があり、それが乾燥の進んだおが粉に引火した可能性が高い。だが、装置内には火花が飛ぶような電気回路はなく、火元が特定できなかった。

 シン・エナジーがステラ社に確認したところ、同社製の乾燥設備は全世界で既に600台以上が導入されており、1年に数件程度の火災事故が報告されているという。そこで、シン・エナジーでは、メーカーから過去の発火ケースの情報を収集しつつ、独自の調査と燃焼試験に基づき、出火原因の可能性を推定した。

 同社によると、発火までのプロセスとして可能性のあるのは、(1)高速回転の排気ファンから火花が発生し、ダクトに付着したおが粉から発火。(2)ゴムパッキンで絶縁されていた点検窓に静電気が溜まり、その放電によりおが粉が発火ーーという2つが考えられた。

 そこで、再発防止策として、(1)原料入り口に金属除去設備を追加し、金属片などの混入を防止。(2)乾燥設備の点検窓に接地線(アース)を接続し、確実に接地を取ることで静電気の蓄積を防止(図4)。(3)乾燥機内部の点検頻度を、3カ月に1回から毎月実施に変更し、乾燥したおが粉の長期堆積を防止。なお、内部点検頻度のメーカー推奨は6カ月に1回という。

図4●点検窓に接地線(アース)を接続して静電気に対策した
(出所:日経BP)
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 実は、木材の乾燥工程に採用される設備としては、現在国内では回転式のロータリーキルン(窯)方式が主流になっている。高温で撹拌しながら乾燥させるため、装置がコンパクトになり短時間で処理できる利点がある。発火事故を機にキルン方式に変えることも検討したが、最終的には、既存のベルト式乾燥機を修復し、引き続き使用することにした。

 キルン方式への転換を見送った理由は、同方式では、運転に重油などの燃料が必要になり、ガスエンジンの低温排熱の利用によるシステム効率の向上を実現できないこと。加えて、高温で運転するキルン方式にも、発火リスクがあることから、火災事故の再発防止という点からも、万全な対応にならない面もあるという。

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