「保証なし」太陽光パネルに、全面を覆いつくすホットスポット

エネテク 第45回

2020/03/26 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、メーカー保証のない太陽光パネルを導入した太陽光発電所において、発電に異常が生じていた例を紹介する。

 エネテクによると、保証を受けられていない理由は定かではない。太陽光パネルの調達コストを限りなく下げることを優先し、何らかの事情で太陽光パネルメーカーによる保証が受けられない製品を、保証のないリスクを承知の上で導入したようだ。

 こうした保証のない太陽光パネルを採用して太陽光発電所を開発する手法は、多くはないものの、想定できる手法である。太陽光パネルは、昇圧変圧器やパワーコンディショナー(PCS)とは異なり、連系先に電気的に直接的な影響の及ぶ機器ではないことから、どのような製品を選んでも電力会社との協議に大きく影響することがないためである。

 エネテクが今回の太陽光発電所の点検を引き受け、現地で点検をはじめてみると、接続箱の端子を通じて計測したストリング(太陽光パネルの接続単位)回路のI-V(電流-電圧)特性やFF(Fill Factor)値が、ともに通常よりも低い数値を示すことがほとんどとなった。

 太陽光パネルや電線などに異常がない場合でも、I-V特性やFF値が低くなることはある。例えば、曇天で日射量が少ない時や、木などの影がかかっていて日射量が少ない場合である。

 しかし、点検時の状況は、曇天でもなく、影もかかっていなかった。日射量は多い状況だった。

 そこで、太陽光パネルに異常が生じている可能性を疑った。太陽光パネルについて問い合わせてみると、メーカー保証のない製品を安く買ってきて設置されたという、「訳あり品」であることがわかった。しかも、異なる製品が混在していた。

 エネテクでは、ドローン(無人小型飛行体)を飛ばして上空から赤外線カメラで太陽光パネルを空撮し、温度分布に異常のあるパネルを見つけようとした。温度が過剰に高い場所があるパネルは、温度分布の画像をみれば一目でわかる。

 実際にドローンで空撮してみると、温度分布に異常がある太陽光パネルを発見できた。ただし、その数が通常ではなかった。ほぼすべてのパネルに温度分布の異常が生じていた(図1)。

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図1●全体を覆うようにホットスポットが点在
(出所:エネテク)

 それも、太陽光パネル内の数カ所に過熱している部分がある、というレベルではない。パネル全体にホットスポットと呼ばれる過熱した部分が点在していたり、ホットスポットで全体が覆われているような状態のパネルがほとんどだった。

 太陽光パネルの裏面を見てみると、樹脂のバックシートが焦げている場所もあった。セル(発電素子)が過熱し、焦げたとみられる(図2)。

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図2●焦げていた部分も
(出所:エネテク)
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 セルの過熱による焦げは、可燃物が近くにあった場合、発火して火災に至る恐れがある、たいへんに危険な状況である。

 今回の発電所ではたまたま、枯葉などが焦げの近くにある状態ではなかったものの、エネテクが点検を担当した他の太陽光発電所では、太陽光パネルの裏面に枯草や枯枝が触れるまでに伸びていた例もある(図3)。こうした発電所でセルの焦げが生じた場合、裏面を覆っている枯草や枯枝が発火する原因となりかねない。

図3●枯枝が近ければ発火する可能性も
(出所:エネテク)
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 こうした太陽光パネルの異常は、施工時のミスで不要な荷重がかかって生じることもあるが、今回の発電所の場合は、調達時点ですでに生じていた可能性もある。今となっては、真相はわからない。

 そのようなことも含めて、太陽光パネルメーカーによる保証のない製品である。仮に製品の不良によるものだったとしても、パネルメーカーによる保証はないので、発電事業者が交換を望む場合には、自らの負担で交換することになる。

 初期コストを優先するあまり、発電の異常だけでなく、火災のリスクまで生じている例といえる。長期的な安全性と信頼性の重要性を改めて認識してほしいとしている。

【エネテクによるトラブル・シューティング】