「ラピュタの城」のように雑草に覆われた太陽光・続編、除草後に盗難の被害に

エネテク 第46回

2020/04/09 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。 (関連コラム

 今回は、このコラムの第40回で取り上げた、雑草が深い森のように覆い、まるでアニメ映画「天空の城ラピュタ」のような様相となっていた太陽光発電所のその後について紹介する。

 この発電所は関東地方にある。低圧配電線に連系し、数区画の太陽光発電所が隣接している。売電を開始してから約5年間、一度も点検やメンテナンスを実施したことがなく、ツル性植物が伸び放題となっており、ツルやそれに付いた葉が幾重にも分厚く覆っていた(図1)。

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図1●除草する前の様子
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図1●除草する前の様子
(出所:エネテク)

 この低圧発電所の開発にかかわった企業が、稼働して5年経ったのを機に、発電所の状態を把握したいと考え、エネテクに点検を依頼した。そこで、エネテクが事前の調査のために現地に向かうと、発電所の一帯が雑草に覆われていて、雑草のほかにはまったく何も見えない状態だった。

 そこに太陽光発電所があることを知らなければ、気づかないだろうというほどだった。

 エネテクでは、依頼主に対して、この状態では敷地内に入ること自体が容易ではなく、雑草を除草してからでなければ、点検を引き受けられないことを伝えた。依頼主は、エネテクの要望に応えて、除草してエネテクに点検を依頼することを決めた。

 第40回では、除草して点検できる環境が整ってから発電設備を調べたところ、集電箱内に水がたまり、筐体内の金属製の固定具が真っ白に腐食していたことを紹介した。白サビは長期間、放置していると、集電箱の電気的な機能そのものに悪影響を及ぼす恐れや、腐食した部分が発熱、発火する恐れもある。すでに絶縁抵抗値が著しく悪い状態だった。

 この太陽光発電所で最近、新たなトラブルが生じた。電線が切断されて盗まれたのである(図2)。

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図2●現在の様子
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図2●現在の様子
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図2●現在の様子
電線を盗まれた後の配管などはテープでふさいで応急措置されている(出所:日経BP)

 電線の盗難は、国内各地の太陽光発電所で多く起きており、報じられることも多い。こうした盗難は、銅線の取引価格が高騰していることが背景にある。太陽光発電所では、主にパワーコンディショナー(PCS)以降の送電を担う、交流変換後の出力側の電線が盗まれることが多い。

 この低圧太陽光発電所は、点検する条件として除草したため、以前のように「ラピュタの城」のような雑草の深い繁みに覆われた様相ではなくなっている。手入れが行き届き、敷地の内外ともに不自由なく通行できるように変わっている。

 盗難の被害に関してだけをみれば、しっかりと除草したことが仇になったかもしれない。以前の状態では、ツル植物がしつこく絡みついていて、電線を盗むどころではなく、敷地に近づくことも容易ではなかったからである。

 だからといって、以前のように適切に管理していない状態に戻したり、除草を怠るべきではない。雑草に覆われた状態は、何らかの理由で発電設備からの火花(アーク)や過熱をきっかけに雑草が燃え、火災を引き起こす恐れもある。安全性に大きな問題を抱えることになる。

 また、この発電所の場合、水がたまっていた集電箱は絶縁抵抗値が極端に低く、もう少しで安全機能が働いて漏電遮断器が動作する可能性が高い状態だった。漏電遮断器が動作すれば、売電は止まる。雑草の状態が安全性や信頼性、売電にも大きな影響を及ぼすことが予想され、この面でも適切に管理すべきとしている。

 太陽光発電所は無人の場合がほとんどで、しかも、通行の少ない場所に立地することが多い。外周をフェンスなどでしっかりと囲い、遠隔監視カメラを導入していても、カメラの死角からフェンスを切って侵入されることがある。今回の例でも、フェンスが切られ、遠隔監視システムの一部の配線が切られていた(図3)。

図3●通信機器の電線も切られていた
図3●通信機器の電線も切られていた
(出所:日経BP)
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 今回の例では、深夜1~3時ころに電線が盗まれたと推測している。この時間帯に、遠隔監視システムで異常を知らせる警報が通知されたためである。しかし、国内各地の他の太陽光発電所と同じように、警備会社と契約している場合でも、深夜の対応には限りがあり、悩ましいところだという。

 また、雨天だったことで、発電設備の損傷にもつながった。集電箱が開けられて電線が盗まれたため、扉が開きっぱなしの状態で、中が雨水で浸ってしまった。これらの集電箱は交換が必要となっている。

 さらに今回の発電所の場合、交流側の電線だけでなく、売電用メーターから連系先の電柱に向かう電線まで切られて盗まれていた(図4)。

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図4●メーターから先の電力会社の電線も切られている
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図4●メーターから先の電力会社の電線も切られている
(出所:日経BP)

 この場合、発電所側の電線を改めて敷設するだけでは、売電を再開できない。売電用メーターから先は、電力会社の設備のため、電力会社側の復旧工事を待つ必要がある。


【エネテクによるトラブル・シューティング】