トラブル

「インフラ投資法人」「特定卸供給」のメガソーラーで盗難、発電量ゼロの影響は?(page 4)

みんな電力の再エネ100%電気で、リコーの御殿場事業所が活用

2020/06/18 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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リコーの「RE100」を支える卸供給

 また、今回電線が盗まれた「LS 静岡御前崎発電所」の発電電力は、みんな電力への「特定卸供給」に活用されている(関連ニュース)。

 特定卸供給では、LS 静岡御前崎発電所にとっての売電先は、中部電力のままで変わっていない。みんな電力が中部電力と特定卸供給の契約を結び、この契約に基づいて、LS 静岡御前崎発電所の発電電力が、中部電力からみんな電力に供給されている(図5)。

図5●特定卸供給の概要
(出所:タカラレーベン・インフラ投資法人)
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 みんな電力は、「再エネ100%電力」メニューを契約している顧客に対して、こうした特定卸供給の太陽光発電電力を優先的に供給できる。

 このように、事前に小売電気事業者が発電事業者に卸供給の承諾を得たうえで、発電事業者や発電所を特定した再エネ発電電力を、送配電事業者(今回の場合は中部電力)の供給設備を介し、小売電気事業者に対して卸供給する仕組みである。

 みんな電力によると、特定卸供給で調達したLS 静岡御前崎発電所の太陽光発電電力は、主にリコーの静岡県御殿場市にある拠点に供給している。

 リコーは2019年8月、この御殿場の拠点で使う電力を100%再エネで賄う体制が整ったことを発表していた(関連ニュース)。みんな電力が調達しているLS 静岡御前崎発電所の太陽光発電電力の活用も、この実現に大きく寄与しているとみられる。

 リコーの場合、事業運営に必要な電力を100%再エネで賄うことを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟し、100%再エネの実現を目指していることから、みんな電力による「再エネ100%電力」は魅力的な契約といえる。

 さらに、「トラッキング付き非化石証書」を組み合わせることで、RE100では本来認められないFITに基づく発電電力でありながら、RE100の定義でも認められる再エネ利用とすることができる。

 みんな電力は、リコーの御殿場の事業所に再エネ100%電力を供給する際、独自のトラッキングシステムを活用して30分ごとの電力構成を把握し、実際に再エネ100%電力であることをリコーに示している。

 このトラッキングシステムにおいて、LS 静岡御前崎発電所の太陽光発電電力を、優先的にリコーの御殿場の事業所に送る設定にしているという。

 今回の盗難によって、みんな電力は、LS 静岡御前崎発電所の太陽光発電電力を調達できない状況が続いている。どのように対応しているのだろうか。

 みんな電力によると、リコーの御殿場の事業所への再エネ100%電気の供給は、LS 静岡御前崎発電所の太陽光発電電力を優先的に供給するといった決まりはあるものの、事故などの影響によって発電や送電ができなくなった場合には、他の再エネ発電所の発電電力を回して代替できる取引になっている。

 このため、現在は他の再エネ発電所の発電電力の優先順を上げて供給を続けて対応している。みんな電力の場合、再エネ100%電気の需要に対して5倍以上の再エネ電力を調達しているという。今回のような不慮のトラブルに見舞われても、顧客の再エネ電源比率を低下させることなく対応できているようだ。

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